2.【BL版】煦煦たる皇子殿下の寵妃は絶佳の呪術師 ~失踪した初恋の人を探し求める美貌の方士は、偽りの花嫁を演じるうちに二度目の恋に落ちる~/babibu(紹介No. 11)
せっかく「物書き徒然日記」コーナーにてカクヨム経由で応募できるBL小説コンテストの話をしたところなので、まもなく2024年10月21日に募集を締め切る第1回ルビーファンタジーBL小説大賞の応募作品の中から、今回は作品紹介します。本日10月19日に完結したばかりのbabibuさん作の中華風BLファンタジー『【BL版】煦煦たる皇子殿下の寵妃は絶佳の呪術師 ~失踪した初恋の人を探し求める美貌の方士は、偽りの花嫁を演じるうちに二度目の恋に落ちる~』が今回のテーマです。
このコラムの最後、------の後は少しネタバレになりますので、作品を読んでいない方は飛ばしていただけると幸いです。
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紹介No. 11
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093081780026914
話数:57話(2024/10/19現在)
文字数:140,238文字(2024/10/19現在)
投稿状態:完結済
セルフレイティング:残酷描写有り、暴力描写有り、性描写有り
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本作には、コンテストに応募している関係で結末まで含む詳細な紹介文が用意されていますが、ここでは粗筋をもう少し短くして結末のネタバレなしで紹介します。
【粗筋】
修行中の方士(巫術などをつかう呪術者)である梅芳と彼の兄弟子柳毅は、修行により若さと長命を手に入れていた。梅芳は柳毅に密かに恋愛感情を抱いていたが、やがて柳毅に結婚話が持ち上がり、梅芳には止めようもなかった。しかし結婚前に柳毅は皇族の邸宅へ妖怪退治に出掛け、二度と帰って来なかった。それから15年もの間、他の者――彼の婚約者さえ――が諦めても梅芳は彼を探し続けたが、現場の皇族邸だけはずっと調査できないでいた。そんなある日、怪異がらみで皇族と梅芳の姪に結婚話が持ち上がり、梅芳は娘を心配した弟に偽装結婚を頼まれた。一旦拒絶した梅芳だったが、柳毅が失踪した妖怪退治の当事者である孝王殿下が結婚相手と知り、偽の王妃となって柳毅の妖怪退治の真相と彼の行方、皇族達の内情を探り始めた。偽装結婚生活の中で梅芳は武俊煕の優しさと思いやりに触れ、初恋の人と偽の夫の間で気持ちが千々に乱れる。そんな中、ようやく柳毅の行方が分かったが、それは初恋にピリオドを打つものなのか、それとも初恋は実るのか。怪異解決と同時に訪れる梅芳の恋の行方は如何に。
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babibuさんは、Web小説やドラマ、アニメなどの中国エンタメに詳しく、その知識を存分に生かした作品作りをされています。本作も「西遊記や封神演義に似た世界観」に「和風な要素もしのばせて」あり、「一風変わった東洋ファンタジー」/「中華風BL怪異譚」(本作の紹介文より)となっています。たまに近況ノートで見せてくださる絵も素敵で作品の世界をより深く堪能できます。
私が作品タイトルに入っている「
実は、本作(男主人公版)にはその対になる同タイトルの女主人公版があり、前回のカクヨムコン9にも参加していました。babibuさんの発想力に脱帽です。その女主人公版が以下の作品です:
『煦煦たる皇子殿下の寵妃は絶佳の呪術師 ~失踪した初恋の人を探し求める美貌の方士は、偽りの花嫁を演じるうちに二度目の恋に落ちる~』
https://kakuyomu.jp/works/16817330658236485660
もちろん、単純に主人公の性を入れ替えただけでは成立しない点があり、それがbabibuさんの工夫のしどころ、かつ読者の見どころです。だから記憶力のいい方は男主人公版を読みながら女主人公版を思い出して楽しめるでしょう。私のように記憶力に自信がなくても、女主人公版と照らし合わせながら読むと楽しいです。
女主人公版を読んだ時、主人公の切ない想いにとても胸を打たれたのですが、男主人公版でも切なさは健在でした。と言うか、babibuさんが2024年10月17日の近況ノート(セキュリティの観点から1年後に削除予定)に書いているように、男主人公版のほうが切なさが倍増してます! 現実世界の現代でも同性同士のカップルってまだまだ結ばれるまでに色々と障害がありますよね。親や周囲の偏見、親が孫を持つ希望、同性カップルの社会的な認知やパートナーとしての法的な義務権利など色々問題が山積しています。本作の世界はそんな現代日本よりも更に保守的(だと思う)な世界なので、男性同士が結ばれるハードルがもっと高くなっているはずです。
そんな世界で主人公の梅芳は長年の想い人の柳毅と結ばれてはいけないと思って告白できないのですが、彼への想いを中々諦めきれません。それだけでも相当切ないのに、偽装結婚相手の孝王殿下(武俊煕)に絆されつつあって迷いに迷って罪悪感も覚えて梅芳の気持ちは千々に乱れます。そういう気持ちがせめぎ合う様子がよく描写されていて胸がドキュンと射抜かれました。しかも武俊煕は梅芳にすごく優しくて人助けもするとてもいい人で好感が持てるキャラです。
男主人公版もこんなに面白いのに、女主人公版と比べると大分フォロワーやお星様が少なくて大変もったいないです。やはりBL小説はカクヨムでは苦戦しているなというのが、今までたった2作ですが本エッセイでBL小説の力作を紹介した私の印象です。キャッチコピーに【BLエロ注意】とあるのが効いてしまっているのかもしれません。でも私から見れば、(もちろんカクヨムですから)忌避するほどの性描写はありません。カクヨム非公開のR18エピソード『第43.5話 陽と陰の入れ替わり』の前後にだけ性的な場面を連想させる描写(当然カクヨム規制範囲内)が少しあります。
ええ~、エロ非公開なの?!というBL(エロ)大好き読者には、babibuさんが別腹ご褒美をちゃんと用意しており、期間限定で第43.5話を別サイトで公開してくれていました(公開期間終了済)。見逃しちゃったよぉ~という方は、babibuさんが新作BL中華ファンタジーを投稿して別腹特典を再び提供してくださるのを期待して待ちましょう(私からはもちろん確約はできませんが)。【※この段落のみ2024/10/21に修正】
babibuさんの2024年10月10、17日の近況ノートによれば、中華風ブロマンスと中華風BL恋愛ファンタジーの新作2本に着手しているそうなので、公開されるのが楽しみです。
男主人公版の本作の私のレビューはこちら:
https://kakuyomu.jp/works/16818093081780026914/reviews/16818093083867935405
女主人公版の私のレビューはこちら:
https://kakuyomu.jp/works/16817330658236485660/reviews/16817330669440671266
【追記2024/11/13】
今更なのですが、babibuさんの近況ノートに本エッセイのことを書いていただいていたのに紹介記事に追記していなかったことに気付きました。というか、今まで追記したり、しなかったりバラバラな対応をしていたのですが、統一して追記をし始めようと思ったのがここ数日なのです。
babibuさんの近況ノートによれば、『煦煦たる皇子殿下の寵妃……』の「悲喜こもごも」の「悲」の部分を私はうまく言い当てられたようで、紹介記事に的外れなことを書いてなかったとホッとしました。
babibuさんの近況ノート「✨微エロ注意な【BL版】皇子殿下の寵妃が完結しました✨」(2024/10/19)※セキュリティの観点から1年後には削除予定
https://kakuyomu.jp/users/babibu/news/16818093087022222024
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↓まだ読んでいない方はネタバレがあるので、飛ばして下さい(伏字あり)↓
三角関係の話では、最後にどちらかが失恋してしまって当て馬の気持ちになると悲しいのですが、これはある意味、全方向救済エンドでよかったです。もちろん柳毅の〇が〇〇てしまう選択を梅芳が強いられた場面はすごく切なかったですが、その後がよかったです。
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