電車
「現在2番のりばに停車中の電車は、15:30発、海手線有布行きです。お乗りになるお客様はお急ぎ下さい。」
俺はアナウンスを聞きながら小走りでホームに入り、電車に乗り込んだ。
始発駅以外の駅には、片側にしかホームが無いようなド田舎の電車だからか、車両は一両しかなく、帰省シーズンにも関わらず電車内には数人しか人がいなかった。
俺はホームの向かい側のシートに座り、ホームをぼーっと眺めながら発車を待った。
「ご乗車ありがとうございます。この電車は15:30発、海手線有布行きです。まもなく発車いたします。」
アナウンスが流れてからほどなくして電車が発車した。
発車して数分後俺はうとうとし始めた。
「各世駅まで40分くらいあるしちょっと寝るか。」
と思った俺は目を瞑り寝ることにした。
しばらくして、
「まもなく、角川、角川です。」
ぼんやりとアナウンスが聞こえ、俺は目を覚ました。
ほどなくして、電車が駅に到着する。
俺は、今何駅だろうかと考えながら、起きたばかりでまだぼんやりとしている目でふと前を見る。
すると電車のすぐ横を今降りたであろう男性が歩いているのが見えた。
徐々に目が覚めてきた俺は聞こえてきたアナウンスを思い返した。
「角川か…。」
「角川!?2駅過ぎてる!」
俺は慌てて振り向き、ホームの駅名を確認する。 そこには確実に有布と書かれている。
「マジか、寝過ごした!」
俺は慌てて電車を降りる。
そしてすぐさま各世駅行きの電車を確認する。
「次は17:15か…。」
ド田舎なのでホームの外に出ても何もすることはない。
俺は大人しくホームの椅子に座り電車を待つことにした。
しばらくして、各世駅行きの電車が着いた。
乗り過ごしのせいで完全に目が覚めた俺は、もう乗り過ごさないと強く思いながら電車に乗り、各世駅へ向かった。
(答え)
角川駅で主人公が目を覚ましたとき、電車のすぐ横を男性が歩いている。しかし、振り向いてホームの駅名を確認しているため、片側にしかない角川駅のホームは主人公の背中側にある。では男性はホームがない場所をどうやって歩いていたのだろうか…。見間違いか、それとも…。
意味が分かると怖い話 井見虎和 @imikowa
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