第32話:三種の戦技

「1年生、フィンさん!学年順位はtop5を切っており、4位での入学だ〜

そして対する相手は1年生、リオ!こちらは学年順位、脅威の3位だ〜〜!」


私は、剣を持ち演習場へ進む。私の戦い方は魔法や魔術を使いつつ戦う剣士だ。だけど、できるだけ立ち回るのは魔法と魔術で.....


「リオ!戦ってみたかったぞ!」


「私は対して戦いたくはないけど...でも!やっぱり興味が湧いてきたから倒してやるわ!」


うっわ...主人公と戦いたくないなぁ....絶対に強いじゃん。

フィンは最初に何かしらのジョブを選択する。だから、フィンの持つ武器を見れば....え?

フィンの手元を見ると、剣を持つ剣士...だが、その背中には弓があったり、それに、左手には...短剣?そんなジョブはあったか?


「では、両者スタート位置についてください。」


私は、脳みそ内をフル回転させながら前の記憶を思い出す。だが、弓を持って剣を短剣と普通の剣を持つジョブなんて聞いたことがない。


「完全に初対面ジョブだね...」


「さあ、君の本気を見せてくれ」


誰もが声を発さない静寂と、観客が席で歩く音だけが聞こえる。


パンッ

破裂音が鳴り起こる。


フィンは瞬時に俺の下へ短剣を構えて突進してくる。その動きには一切の無駄がなく、完璧な守りが形成されている。


「フッ!」


風を切る音が耳元で響く。フィンが短剣を自分の元いた場所へ振り下ろした音だ。その刃が届く刹那、俺は体を捻りつつ横へと跳んで回避する。


だが、その動きの反動で俺の身体は宙に浮き、明確な隙が生じる。その隙を見逃すフィンではない。彼は即座に短剣を投げ放ち、鋭い刃が真っ直ぐ俺の胸元を狙って飛んでくる。


「っ!」


咄嗟に剣を斜めに振り、迫りくる短剣を弾き飛ばす。鋼がぶつかる甲高い音が響き、短剣は無力化された。だが、俺は既に次の行動に移っている。剣を振ると同時に詠唱を開始し、魔術の力を込める。


「ファイアボール!」


生成された火球は1つではない。俺の周囲に現れた4つの赤い球体が一斉にフィンを包囲するように向かっていく。


「なっ!だが、これならまだ対処可能!」


フィンは瞬時に状況を判断し、炎に焼かれる前に跳躍する。鋭い動きで火球の軌道を外れ、地面を蹴って再び俺へ突進してくる。


だが、俺の狙いはそこにあった。


「次だ!」


地に着地する寸前、俺は新たな詠唱を重ねていた。空中のフィンは一瞬身動きが取りにくい。そこを狙って、一つの魔法を完成させる。


「ブレイズスパイク!」


地面から鋭い炎の槍が突き出し、フィンを狙う。彼の動きがいくら速いとはいえ、空中で完全に回避するのは難しい。

ただ、そこで、フィンは瞬時に持っていた剣で体の重心を操作する。そして、重心がぶれたことにより、攻撃地点を避けそれで炎の槍から逃れる。だが、その一撃で少しながらも姿勢が崩れる。


俺はその隙を逃さず、地面に着地すると同時に剣を構え直し、急襲を仕掛ける。

しかし、その頃にも彼はバランスを取り戻しつつ、再び短剣を振るい俺の攻撃を受け止める。鋼がぶつかり合い、火花が散る。

その威力のお陰でか、お互いの体は大きく後退し、明らかな距離が作られる。


「っ!」


俺は直感的に後方へ飛び退る。次の瞬間、鋭い矢が自身の頬へかすめ、鮮やかな鮮血が空中へと飛散する。その矢は鈍い音をたてながら壁に奥深く突き刺さる。

フィンだ。弓を使ったんだろう。

その威力に...いや、素早い弓への攻撃切り替え、それにこの武器の切り替えと同時にこの正確さ...いやあ、冷や汗が流れるな。が、ここで怯んではいけない。


「フレイムウォール!」


俺は剣を振り上げると、炎を周囲に纏わせるように放出する。実際は炎の壁を張るようにするだけの入門用魔法だ。だけど、応用して自身はまとわせるように、魔法を操る。


彼は弓を構えたまま、冷静に次の矢を番える。その間にも短剣と剣を瞬時に背中に戻す仕草を見せ、まるでどんな戦況にも対応する準備をしているかのようだ。

矢が急激に魔力を帯びていき、硬度を増していく。魔力は火属性...水属性といろいろなことに使わなくても応用できるからだ。

そして、その魔力の量の上昇が突如として止まる。完成時の矢はすでに白く薄く輝いており、まさに無属性の魔力がまとわれていた。

あれは絶対に避けられない。スピードが先程の3倍は確実だ。


「ナローレーザー」


「っ!」


矢は薄い光を帯びながら、直線状に俺の頭へと迫ってくる。


光のようなスピード...いや、音速クラスだろうか...そのスピードは自身がもう少しフィンに近かった場合、そうでなくても反応が遅れた場合はもう頭を突き刺されていただろう。

とにかく、俺は自分が出せるトップクラスの結界を貼って矢の一撃をしのごうとする。

衝突し、結界には大きくヒビが入り、ヒビができた場所からはかなりの密度の魔力が溢れ出していた。


「く...弓は止められるか......」


フィンは弓を背中には戻さず、そのまま自身の後ろへと放りなげる。魔力を加えた矢を放っても結界を貫通できないならば、弓は威力不足...おそらくだが、そう感じたんだと思う。持っていると動きが制限されるしな。


「ブレイズウェーブ」


叫びと共に俺は剣を振り下ろす。その瞬間、炎の奔流が地面を走り、フィンへと迫る。彼は俊敏に回避を試みるが、炎の範囲攻撃は広範囲に渡るため、完全に避け切ることはできなかった。

彼のコートの端が燃え上がり、彼の動きにわずかながら乱れが生じる。フィンの顔には焦りが見えだしてきた。


「ファイアボール!」


魔術での火球...だが、彼はそれでもすぐさま反撃に転じる。コートの炎なんてものはどうでもいいかのようにし、そのまま地面を蹴って接近してくる。

今度は左の手に逆手持ちで短剣、右手には剣を持ち、攻撃態勢を取る。近接戦に持ち込むつもりか。こちらも剣をしっかりと握り直しながら、魔術の術式を自分周りに2つ漂わせる。


「楽しいな!」


フィンは本当に楽しんでいるような顔で俺へと笑いかける。

鋼の響きが再び鳴り響き、お互いの剣とともに俺たちの目が交わる。彼の瞳には情熱的な輝きが更に増している。


「...だね!お...私もっ楽しい!」


...自分も、この戦いを楽しんでいたみたいだ。

俺とフィンは一度お互いに離れ合う。

今は自分がかなり優勢...魔力もまだ8割以上残っているし、まだ息も全然荒くないし疲れが感じない。ただ、フィンを見てみるとかなり息が荒くなっているな...これは一つのチャンスだ。


自身にはまだ、付与魔法と大型の魔法が使えること...いわば奥の手がある。

だから...ここから一気に畳み掛ける。


「セルフディストラクション」


フィンが笑みを浮かべながら...言い放つ。

俺も絶対に...この戦い、負けられ....


いや...もう使えるのか.......本当に...

会場が先程までの熱狂から一段と盛り上がっていく。

いや....確かにだ....主人公なのにあまり強くないと感じてしまった。それどころか冒険者としてのランクで表せばC程度だった。

.......いや、違う。最初の主人公はそこまで強くなかったんだ。

首席クラスの十二席...つまり一番下だな。そこに普通は入るんだ。


「......歴史が変わったと言うか...おもっていた未来にならなかったってとこか...」


フィンは深く呼吸をしつつ、速い呼吸をする。更にフィンの体からは紫の薄いオーラのようなものがまとっている。それは魔力でもなく、付与魔法でもない。これは...


「セルフディストラクション....自壊...」






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