第3話 支えと希望

家族の病や障害に囲まれた生活は、決して楽ではありません。それでも、私は自分なりの支えと希望を見つけながら、前を向いて生きようとしています。私には、相談支援事業所の相談員さんや、就労継続支援B型事業所の支援員さんがいます。彼らは、私が心の内を打ち明けられる数少ない存在であり、苦しい時に話を聞いてくれるだけでも、随分と救われているのです。


しかし、私は自分の悩みや不安を伝えるのがとても苦手です。自分がどこまで話せばいいのか、何を話せばいいのか、言葉を選ぶたびに戸惑い、結局、思っていることの半分も伝えられないことがよくあります。そうして、言えなかった言葉が心の中に蓄積されていき、それがまた新たな悩みを生んでしまうこともあります。


だからこそ、「自分で解決しなければならない」という思いが、私の中で強くなってしまいます。その結果、何もかもを一人で抱え込み、心が押し潰されそうになることもしばしばです。鬱病の治療も進まず、悪循環に陥ってしまうことがあります。それでも、少しずつ状況は変わってきました。事業所での作業時間を増やし、自分にできる範囲でスキルアップを図ることで、少しずつ自信を取り戻しつつあります。


例えば、事業所での新しい仕事に挑戦したり、日常生活での小さな目標を設定して達成することを心がけています。例えば、毎日決まった時間に起きること、家の掃除をすること、家計簿をつけること。こういった些細なことでも、自分がやり遂げたという達成感が、次の一歩を踏み出すための力になっています。


それでも、将来のことを考えると、不安は尽きません。もし、両親がいなくなったとき、私が一人でやっていけるのかどうか、自信はありません。今の収入では生活は厳しく、経済的にも精神的にも一人で全てを担うことは難しいと感じています。しかし、その不安があるからこそ、今、少しでも自分を成長させる努力をしているのだと思います。未来に向けて準備することは、私にとって大きな挑戦であり、それを乗り越えるための一つのステップなのです。


また、家族のために自分ができることも考えるようになりました。母の体調が悪い日は、洗濯物を取り込んだり、食事の準備をしたりと、少しでも彼女が楽になるように心がけています。父が透析から戻ったときには、彼の好きなテレビ番組を一緒に見たり、話し相手になったりと、少しでも彼がリラックスできる時間を作れるように努めています。こうした小さな行動が、家族全体の雰囲気を少しでも和らげていることを感じられるとき、自分も役に立てているのだと、ほっとします。


ひとりっ子としての孤独感や不安は、常に私の心の奥にあります。それでも、支援員さんや友人、そして事業所で出会った仲間たちと少しずつ繋がることで、自分だけではないという実感を得られるようになってきました。誰かに頼ることは、決して弱さではなく、むしろ自分を守るための大切な手段なのだと気づき始めています。


これから先、どんな未来が待っているのかは分かりませんが、少しずつでも前を向いて歩み続けること。それが私にとっての「支えと希望」です。自分のペースで、小さな一歩を積み重ねながら、少しでも前進していきたいと思います。そして、いつか振り返ったときに、ここまで来られたことを誇れる自分になれたらと思っています。たとえ道のりが険しくても、その先にある光を信じて、私は歩き続けます。

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僕の障害と、両親の持病 白鷺(楓賢) @bosanezaki92

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