R島の話

@ilpt28

R島の話

R島に住んでいた友人との会話

「なんかおもしろい話ねーのか?」

「変な話なら確か、高校の頃だったかな。実家のアパートで変わったことがあったんだ、その頃夜更けまで部屋でゲームしてたっけ、早く寝ないもんだから遅くに帰って来る親父がうるさくて」

「部屋にまで入って来たりするよな、ウチもそうだった」

「それがいやでさぁ、いつも親父が帰ってくるのを窓から確認してたんだよな」

「のぞいてたのか!?

「いや、影が窓に映るんだよ、俺の部屋、外廊下に沿った窓際でさ、外廊下はオレンジ色のLEDランプががボゥと光ってたんだけで、それが窓に影を落とすんだよ」

「なるほど、それを確認してってことか」

「そうそう、それで高二の夏くらいだったかな、夜中に外廊下を誰かが走しり周るようになったんだよ」

「それで窓に影が写ったわけだ」

「いや、影はないんだ 音と声だけ、足音と声から子どもだろうなぁ」

「え?」

「一度窓開けてみたんだけど廊下の向こうの方までだーれもいねぇの」

「…どんな声だったんだ?」

「叫び声みたいな、何いってんのかわからないけどとにかく楽しくはなさそうな感じというか」

「最初のうちは子供なんていたかなと住人の顔を思い出したりしてたんだけど、近隣は一階上に住む外国人の子どもだけなんだよな…」

「わざわざ深夜に降りてくるとも思えないし…」

「だよなぁ、実はこの話それだけじゃないんだ…その家族、黒人の一家だったんだよ、今じゃとんでもないことなんだけで小学校の頃には家族三人がいるとこ見て変なあだ名つけてたっけ、話してみるといい人なんだけど」

「ガキだったんだなぁ」

「そんでさぁ、高校三年になる時くらいだったかな、エレベーターでその家族に会ったら、白人の子ども連れてたんだよ、ちょうど小学校の頃に見た時と一緒くらいの…」

「え?黒人の子どもは?」

「わかんね、でもそれからその人たち引っ越したのか見かけなくなったんだよな、そんで代わりに別の外国人家族を新しく見かけるようになったんだ もともと外国人が多い市だからなぁ…」


 後日この話を聞いてR島について詳しく調べてみると、R島は大型タンカーが港に常駐しているほど海外との貿易が盛んな場所だ。タンカーには食物や資源のほかにもさまざまなモノが人知れず積まれここに運ばれてくるようだ。

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