飛行機とかき氷

白崎祈葵

第1話

薄緑色の小さな机の上に

書道の道具を置く

お寺巡りの縁が深まって

写経を始めた私のところへ

あなたはとことこ駆けてくる

もう寝間着に着替えたあなたが


可愛いぷくぷくした桃色のほっぺ

小さな手

きらきらした大きな目で

これなあに?と聞いてくる


これは書道

しょどう?

そう 漢字の練習

かんじのれんしゅ?


私の写経のお供であるお鈴を

あなたはむぎゅっと力強く掴んで

りんりんりんりんと勢いよく鳴らす

あなたはお鈴に結ばれてる紫の紐で

じぶんの桃色のほっぺを撫でる

目頭を撫でる

鼻を拭く

そしてこの上ない笑顔を見せる

私はいつもあなたを叱れない


あなたは私の筆を奪い半紙に書いてくれる

私は筆に手を添えるだけ

あなたが自由に書いたらいいよ

半紙に繰り広げられる墨の線

力強く大きな句読点

時に一丁前に掠れた美を表し

楕円を描き

あなたは半紙に二枚描いてくれた


これなあに?と聞くと

ひこうき

これは?何書いてくれたの?

ぴんくとみずいろときいろのかきごおり


飛行機とかき氷のあなたの書

墨で書いてても

あなたの目には色彩が見えてるの

青空を飛んでいく飛行機

ピンクや水色や黄色のかき氷

光のワルツが

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飛行機とかき氷 白崎祈葵 @matsuri_spoon

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