第8詩 【樹】


この樹は大きかった



言葉はいらぬ


唯(ただ)


背中をくっつけた



見上げたら


風の赤ん坊を


茂みいっぱい


孕(はら)んだ樹である



いい呼吸をした



この一瞬の生を


一瞬で満(まん)ぱいにした



樹液に集(たか)る昆虫のように


じかに心は蝕(むしば)まれた



それは私をほんろうする



祈りたい気持ち……



わたしの生が涙した、



世界を煙たがるのだ。



愛で馬鹿になるようーー



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新と古の詩(スケッチ) 夢ノ命 @yumenoto

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