モノローグ(桜井)

     ◯


 隣をみると、柳が俯いて目をパチクリさせている。私も残像が目に焼き付いて七色?の太陽が浮かび上がって見える。

 私は歩き出した、面倒臭いので学校の方ではなく、ウチの方へ。どうせ課外授業なんて自主解散で終わりだし。……柳も何も言わないし……

 ………………

 ……最後くらい引き止めたらどうよ? ったく……


 橋の袂で、ふと言い忘れた事を思い出したので一言だけ。


 柳、柏崎とかならそんなに遠くもないんだし、海くらい、来週でも来月でもいいから行って見て来なさいよ?

 そう言ってやったら、……そうだなあ、来年頃に暇なら行ってみようかな……だって。

 アレはもう駄目だ。……どうせ行ったとしても、八海山に登って来た……なんてオチだわね。何せ、あの海?の山はここから歩いて直ぐだし。

 ……でも、あの山に登るのは、ある意味海のレジャーより危険かもね。

 テレビの県内ニュースで遭難の報道とか過去にあったし……柳にはあの山は到底無理だろうが……ただ、アレは転んでもタダでは起きない、しぶとく、諦めの悪い奴だったか。遭難で奇跡的に助かるケースって、もしかしたらああいうタイプなのかも……往生際が悪いとも言うけど。悪運と逆境には強い、コレ結構重要かも。すぐ死んだら、すぐ終わりだから。当たり前だけど。だから私も亡くなりはしないにしても……これで終わり、じゃ柳に負けたも同然。なので、さっきからこうやって引っ張っているって訳。まだ消えないわよ?


 ま、結局、柳は「海」よりは「山」って感じかもね……足は速いけど、平泳ぎは全然前に進みやしないし。


 さて、と。私はどうするか…… 籍はママ方の実家のココであるのは数年後も変わるまいし、成人式もこっちだろう。しばらくは構ってやれないけど、流石にそれだけの猶予期間をくれてあげれば海なんてその内……嫌でも目にするわ。

 一つ、成人式とやらに顔を出す口実が出来た。柳が海を見たなら、何て「答え」を出すのか楽しみだ。


 海は( )だった。


 地球は(青)かった。らしいけど。さて、あのガガーリン以上の名言(迷言?)を聞けるだろうか……?







 それじゃ、柳……        


 See(Sea?)you again……

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桜井ミドリの客観  谷田量子 @PS-9420

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