第3話 孤独な戦場


 「アイズ、ダッグ、緊急で悪い」


リーダーのラス・ベルスは厳しい表情で二人を見据えた。彼の背後に映し出されたホログラムにはテラの量産機の姿があった。


「見てわかる通り、前回よりも数が多い……やれるか?」


ダッグは軽快に笑い声をあげながら、モニター越しにアイズを振り返る。


「任せてください。俺とアイズがいれば楽勝です」


 その声には自信だけではなく、お互いの信頼があってこその言葉だった。二人は頷き合うと、スラスターの出力を上げた。


「油断するなよダッグ」


「もちろんさ!」


ダッグの機体は一気に加速し、敵の量産機に向かって突進していく。


 彼の機体「ヴァイス」は黒と銀の鋭いフォルムで、スリムなフレームが高い機動力を誇っていた。ダッグの攻撃は鋭く、次々と敵の量産機を破壊していく。


「どうした? 早くしないと俺が全部倒しちまうぞ!」


ダッグの挑発的な声が通信を通して響く。


「言われなくても!」


アイズは「ホープ」を操り、敵の攻撃を的確に避け、隙をついて量産機を破壊する。全てが順調に進んでいた。


しかし、異変は突然起きた。


隕石の陰から警告音が鳴り響き、アイズのレーダーには複数の機体が映し出された。


「なんだ!? ま、まさか!? 待てダッグ!」


 アイズは警告するが、それはすでに遅かった。隕石の裏に潜んでいた敵の機体が次々と姿を表し、「ヴァイス」を完全に包囲した。


「か、囲まれた……!」


ダッグが叫ぶと同時に敵の砲火一斉にヴァイスを襲った。機体は激しく揺れ、装甲が次々と溶けていく。防御態勢を取る間もなく「ヴァイス」は敵の集中攻撃に飲み込まれあっという間に大破していった。


「ダッグ!」


 アイズは必死にコントロールレバーを握りしめ、スラスターを全開にして駆け付けようとするが、すでに「ヴァイス」は火の海の中で爆発し、ダッグの声は通信から消えた。アイズの声が震える。目の前で広がる惨状に、信じたくない現実が押し寄せる。


「必ず、仇は討つ……」


 アイズはコントロールレバーを強く握りしめ、「ホープ」はその姿からは想像もつかないスピードで量産機を破壊していく。


「駄目だアイズ! このままでは「ホープ」が完全に動かなくなるぞ!?」


 リーダーの警告を無視してアイズは敵の量産機に向かって突進させる。

機体のメーターは確実に限界を示している。


「まだだ……まだいける……」


 「ホープ」のフレームが軋み、ブースターから白い煙が吹き出す。


「後一撃だ……頼む……!」


 アイズはトリガーを引いた。

                                   つづく


~あとがき~

とうとう第三話!

まさかのダッグ死す!?

今回も見てくださり誠にありがとうございます。

これからも頑張っていきますので、何卒宜しくお願い致します。

次回、リナに会う……

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戦場の星屑 ネコを愛する中学生(略してネコ愛) @nekonitukaesigeboku

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