回顧録

テオ

其の一

「ひまわりの丘」


夏の終わりは 空高く 渡り鳥が舞う

過ぎゆく季節の 香りのなかで 

逝くのを惜しみ 見あげていた


そばにそっと きみがよりそう

音もなく つないだ右手の やわらかさ


僕のまぼろし しろい花

涙といっしょに 散ってった

たった一度きりの 夢だった




ふりかえり もう一度

足あとたどり 丘に立つ



あざやか蒼い 風の音

ふくらんだ雲のましたには


夏の陽をあびる 君がひまわり




想い出なんかにできなくて

しまっておくのはいやなんだ


この胸で

この腕で


強く抱きしめておかないと


あなたはまた

いなくなる




眩しい日 ひまわりの丘の残像に

ひかり戯れる いとしさに



くちづけをゆるして欲しい 今一度

























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回顧録 テオ @amorelli7

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