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秋が過ぎるとき

月がきれいです。見上げていると、神秘な光は心を洗ってくれるようです。
金木犀の花も香り、秋が深まっていく頃に、よみがえる光景があります。
幼い頃遊んだ庭に、四季の草花がみごとに咲き、楽しかった日々のこと。
そばには姉がいて、弟がいました。母に言われて使いによく行きました。
隣の家のおじいさんは竹を割いてうつくしい京扇子をつくりあげます。朝には竹の香りがしていました。

陽のあたる縁側には、秋風に遊ぶ風鈴も鳴っていました。秋の音色を奏でるその音は、夏よりも涼やかな感じに聞こえました。

多感な子供時代に目にした出来事のかずかずは、なぜか、においも、温度も、色さえもはっきりと記憶の奥底にとどまっていて、色褪せたことがありません。

秋の夜、あなたは誰とどんな話に夢中になるのでしょう。

この月の下の静かな光のたゆむ時間が、いつかまた、思い出として懐かしむ日々となりますように…










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