第20話

私は夢を見た。いや見せられたというのが正しいのだろうか?しかし無視できなくなった。ルシファーは知らないにしても、私は彼らにこの事を隠し通すことが出来るのだろうか?今この事を他者に言ってしまうと未来が変わってしまう。それだけは阻止したいから極力隠し通す。そう思っていたのにもかかわらず、ルシファーと口喧嘩をして怪しまれる始末。もう言ってもいいかな?とりあえずもう一度思い出そう。

                 《夢の中》

私「なにもない空間でただ彷徨っているだけも飽きてきたな。」

魔法を使っても発動はしない。これが無詠唱の欠点なのかは、分からない。しかしもう打つ手なしだ。諦めて寝よう。待てよ寝る?そういえば寝た記憶がある。これは夢か。明晰夢というやつだな。

ア「こっちへ来い人間。」

突如声がしたためそちらを振り向くと、裸の女性が立っていた。銀色の腰まである髪。左右赤と緑のそれぞれ異なる瞳の色。そして160cm程度の身長。女性型であることさえ除けば完璧だ。

ア「何をしておる。早く来い。」

言われた通り向こうまで行く。きっとなにか話してくれるだろう。

私「はい。なんですか?」

ア「そうじゃった。普通の声は聞こえぬゆえ念話で話しておるのだ。小僧、貴様にも使えるようにしてやろうぞ。それと女性の体をジロジロ眺めるでないわ。」

私「これで聞こえていますか?」

ア「なかなかうまいではないか。まだ少し粗いが問題あるまい。」

私「これから何をするのですか?」

ア「会議じゃ。今回話したことは他言無用でな。」

私「はい。ところで貴方の名前は。」

ア「我か。我は、アスモデウス。ルシファーより強い最強の悪魔だ。」

私「確かにルシファーは最強を名乗っていませんからね。」

ア「心の奥底で、『キャラが変わったな』などと考えるでない。」

私「私はこれから何をされるのですか?」

ア「会議に参加させられるのじゃ。」

私「具体的に何について話し合うのですか?」

ア「会議は他の六人と悪魔の加護やスキルについてが主じゃな。それと妾との子作りじゃ。」

私「仲間以前に、俺は男以外を選ぶつもりはないぞ。」

ア「なかなかの殺気じゃが、まだまだじゃの。悪魔に性別内ゆえ好きな姿になれるぞ。」

私「彼氏でも配下でもないのに、そんなことはしません。」

ア「ならば妾は、お主の配下となるのじゃ。」

私「やることだけやったら逃げられそうだから、正式な契約なしでは無理。」

ア「悪魔契約でも交わすか?」

私「その話はまた後で、会議に向かいましょうか。」

ア「そうじゃな。では付いて来るが良い。」

そのまま移動すると、丸い机を囲うようにして椅子が七個有りそのうちの五個にはもう既に誰かが座っている。どの椅子に座ったら良いのだろうか。

ベ「好きなところに座っていいのよ。」

私「分かりました。」

とりあえずアスモデウス様の隣に座る。

グ「もう、子作りは済ませたの?」

ア「だめじゃった。魅了から支配に空間まで作り上げてもだめじゃった。」

マ「かなり本気だったんだね。でも本当に君の魅了を乗り越えたのかい。」

私「なんか変な感覚だったのは、そういう事だったんですか?」

レ「変な感覚で済ませられるのはすごいことよ。なにせ私達でもできないからね。嫉妬しちゃうわ。」

ブ「しかし、アスモデウスの領域に耐えられるとは、「空白」の力か?」

フ「それは違うのではなくて。だってまだ彼らは、悪魔の加護の使用方法を教えていないもの。」

私「ところで皆さんお名前は、なんというのですか?」

ベ「そういえば名乗っていなかったわね。ベルゼビュートよ。大喰らいなんて言ったら殺すからね。」

グ「グラシャラポラスよ。殺人は得意かもしれないわね。」

マ「アンドロマリウスだよ。マリウスと呼んでね。法の執行者だよ。」

レ「レヴィアタンよ。嫉妬をエネルギーに変えられるわ。」

ブ「本来は龍の姿なのだけれど今日はこれで行かせて頂きます。ブネよ。」

フ「フェネクスだ。普段は不死鳥だ。」

私「私の名前は、田中魔裟斗です。よろしくお願いします。」

ア「さてとじゃあ会議を始めましょうか。議題は先程伝えた通りです。」

マ「アスモデウス口調直して。」

ア「失礼したのじゃ。まず小僧。なぜ貴様がこの世界に呼ばれたと思う?」

私「ミカエルが成長するため?」

ア「いや実はな、貴様は本来であればこの世界に生まれてくるはずだったのじゃ。しかし、ミカエルがそれを阻止し、別の世界へと送った。更にミカエルが提案した異世界人召喚の対象からも外されていたのじゃ。

しかし、何故か召喚され悪魔の使者となってしまったのじゃ。まあそれは術式に妾が介入したからなのじゃが、今はそんなことは良いのじゃ。なぜ貴様が召喚されたか。それは妾が肉体を得るためなのじゃ。天使と同じで悪魔も肉体がなければ現世にはおれぬのじゃ。ミカエルといえど、ルシファーと互角。ならば妾が負ける理由がない。そこで小僧貴様の体を少しの間貸してはくれないか?」

私「別にそれは可能ですが、それは人間の身体でないとだめなのですか?」

ア「どういうことじゃ?」

私「いえ、魂さえ入る器があれば人間ではなくてもよいのでは無いですか?」

ア「確かに可能じゃが用意できるのか?」

私「そこはまだ分かりません。そこで悪魔契約をしましょうか。〘私が一月以内に貴方様の肉体となるものを得ることができなければ、貴方様に肉体を差し出します。そして手に入れることができれば貴方様は私の配下となります〙これで宜しいでしょうか?」

ア「それで良い。ちゃんと手に入れるのだぞ。」

グ「手に入れるのは、貴方にとって不利益となるのでは無いですか?」

ア「珍しく畏まっているではないか。あやつの配下となれば性交が出来るらしいぞ。」

レ「それが目的ですか。」

ア「さて会議を続けるのじゃ。次は才能についてじゃが、この紙にまとめておいたから読んでおけ。」

私「最後適当ですね。」

ア「さて、しばらく会えなくなるな。」

私「さようなら。長いようで一瞬ですよ。」

                     《現世》

私「こんな事言えないよね。」

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2024年9月20日 22:00
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2024年9月20日 22:00

勝手に異世界転移させられて許せる訳がないでしょう @kikka0215

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