第16話 いつかちゃんと伝えてね、お姉ちゃん

「旅行楽しかったね、お姉ちゃん!」


 キラキラした瞳でこちらを見るコハル。目を合わせるだけで、失明してしまいそうな程の眩しさである。とっても満足そう。


「でも、花火見れなかったのだけ心残りだなぁ……。私のせいなんだけど……」


 みるみるコハルがしぼんでいく。自分で言っておいてしゅんとするなんて……。

 元気づけるために、気にしてないよって意味も込めて垂れ下がった頭を撫でると、すぐににぱっと笑顔に戻っちゃう。そんな単純なとこも可愛い。


「えへへ。ありがとう、お姉ちゃん」

「どういたしまして」


 コハルたってのお願いで、今回は窓側を譲ることにした。来たときは私が窓側だったから。

 だから、コハルのほうを見ると、必然的に外が見える。ついでにコハルとも目が合う。


「外見ないと、譲った意味がなくなるよ」

「お姉ちゃんのほうが綺麗だもん」


 「もん」って……。子どもじゃあるまいし。いや、中学生ってまだ子どもか。


「コハルは子どもだなぁ」

「でもお姉ちゃんのほうがよく鳴くじゃん」

「……」


 少し強めにこづいた。調子にのりおってからに。……そこも可愛いんだけど。


「いったい……!?」

「反省しなさい」


 うずくまって頭をさするコハルを見て、やっぱりまだ子どもだと思う。まだちっちゃくて、人の目を知らなくて、純粋で。……純粋だと思う。たぶん。

 私を好いてくれているのも、一時の気の迷いだって、いまだに思ってる。言ったら怒られるだろうから、内緒だけどね。

 でも、ちゃんと向き合うって決めたから。

 いつか、コハルへの気持ちに自信を持てたら。コハルからの気持ちを受け止められたら─────


「ねえ、コハル」

「どうしたの? お姉ちゃん」


 この「好き」を、姉妹としてか、恋人としてか、どちらで伝えたらいいかなんて、私にはまだわからないし、決めきれない。

 ずっと周りが怖いし、自分が異常だって思う。進む勇気なんて、私一人じゃ到底得られなかった。

 でも、私の隣には、コハルが──あなたがいてくれるから、私は答えを探せる。大切なあなたが、勇気を与えてくれる。

 いまは仮初めだけど、いつかは本当に渡すから。


「大好き」

「……」


 きっと、中身がないってわかってるんだろう。形だけだって。私がそれを申し訳なく思ってることも、それでも溢れだしちゃったってことも。

 それでも、やっぱりコハルは、屈託もなく笑って、私にこう返してくれる。


「私も大好きだよっ! お姉ちゃん!」


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つよつよ妹にせめられるよわよわ姉の百合 百合豚 @thrmzk

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