第38話 私をナメても、効果ないですよ

 背後霊陸遜が機嫌を多少直してくれた。クリスマスケーキを見て「何だ、この面妖な食べ物は」と眉間に縦ジワを寄せていたが、一口私が食べて見せるとしぶしぶ自分のケーキを口に運び、「何だこの味は」と言いながら食べていた。フライドチキンは抵抗なく全部平らげた。むろん私もフライドチキンを食べた。自宅から徒歩三分ほどの場所にあるスーパーで購入した商品だ。有名ファストフード店のそれよりも安く、うまかった。最近のスーパーのお惣菜はあなどれない。

 今回は陸遜と相談して、カクヨムコンテスト開催中でもあることだし、私がいかにして長編小説を連載したかについて書くことにした。長編小説に挑戦したい方々の励みとなれば幸いである。

 私の長編小説は以下の四作品である。全てカクヨムコンテストに応募している。


一 「我ら曹魏の男」

https://kakuyomu.jp/works/16818093073870545686


二 「我が名は曹飛将」

https://kakuyomu.jp/works/16818093084499285834


三 「晋よ曹魏の上に立て」

https://kakuyomu.jp/works/16818093089251739920


四 「総務課の沢渡くん」

https://kakuyomu.jp/works/16818093085215443547


 これら全て、スマートフォンにインストールした文章作成アプリで毎日書いて、毎日投稿していた。ただそれだけである。

 おっと、ずっこけないでいただきたい。一から三は「小説家になろう」に投稿していたので、PV数を獲得するためには毎日投稿して読者の目に触れるようにする必要があったからだ。

 この日本最大級の小説投稿サイトでは自分の作品を毎日読者の目に触れさせなければ数多くの似た作品たちに埋もれてしまう。しかも「完結済」がついて初めて読んでやろうという読者もいるため、必死で完結させた。「我が名は曹飛将」は二万八千PVを記録し、歴史ものとしてはめずらしく百四十ポイントをいただいた。しかし「我ら曹魏の男」はある日突然三千PVを獲得したものの評価は伸び悩んだ。だから「我ら曹魏の男」だけをカクヨムにも重複投稿したのである。すると最後まで読み通してくださる方々が現れた。嬉しい感想やレビューもいただいた。感激した私はその後もカクヨムにとどまった。そして理不尽な批判を複数書き込まれたことにより、作品・コメント・レビュー・自分がつけた評価を全て削除した上で「小説家になろう」を退会したのである。先日「小説家になろう」をのぞいてみた。感想欄から「よかった点」・「気になる点」・「一言」が削除されていた。「気になる点」が純粋な批判や疑問だけでなく、作者の人格を攻撃するような内容を書く口実になっていたからだと私は推測する。

 しかし「感想」という言葉がついている限り、「感想なのだから何を書いてもよいではないか」と思い違いをし、常日頃蓄積したうっぷんを作品の批評だとすりかえて書きなぐる人々は後を絶たないだろうとも私は想像する。

 私の三国志BL「雨音が消えた夜」を「小説家になろう」に投稿したことがある。すると三国志に詳しいと称する人からこんな一言が来た。「伏皇后が処刑された後の話なのに、なぜ彼女が流した噂がいまだ流れているのか。物語の根本が揺らぐ」これには言葉を失った。カクヨムでは誰も指摘しなかったからだ。「精神的とはいえボーイズラブを書いているのだから、念のためボーイズラブのタグづけをするか、ボーイズラブ要素にチェックを入れるかした方がよい」。まあ、この指摘はもっともなので採用した。しかし私は穏やかでいられなかった。作品に対する純粋な批判をされているのではなく、三国志で男性同士の恋愛を描いている私そのものを「小説家になろう」から追い出そうとしているように感じ、恐怖を覚えたからだ。私は「雨音が消えた夜」をすぐに削除した。これ以上その人物にからまれたくなかったからだ。

 では、このような一言が来てしまったらどうすればよいか。今の私ならば、完全に無視する。コメントを削除すると「私はあなたの一言に不快感を覚えている」という証明になるので、あえて残す。度重なるようなら運営側に相談するのも一つの方法だ。しかし、批判する人物は往々にして、こちら側に関係をもつ機会を狙っている。だから一番良い方法は、そのサイトのアカウントを削除し、退会することだ。そしてあなたを批判する人物のアカウントや作品をのぞかない。不快になるだけだからだ。

 幸いにして「カクヨム」では、私そのものを排除するような一言はもらっていない。しかし「小説家になろう」で毎日、読者を飽きさせないように、数多くの三国志ものの中で目立つように、毎回見せ場をつくり、次回が気になるような文末にしたことは、カクヨムオンリーの「総務課の沢渡くん」執筆で十二分に効果を発揮した。

 「小説家になろう」でナメられた経験はカクヨムで生き延びる私に、確実に役立っている。


 そんな問題作であり、さいかわ水無月賞参加者の心を刺しまくった「雨音が消えた夜」は、「きみと語る三国志」第21話に収めています。

https://kakuyomu.jp/works/16818093080984974805







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