俺のパーティ全員の役職はなぜか【ネクロマンサー】しかいない 〜異世界に転生した俺だけど、仲間になる奴らの役職が全員【ネクロマンサー】しかいなくて困ってるんだが〜
第4話 俺は当たりを引いた······のか?
第4話 俺は当たりを引いた······のか?
「······どちら様ですか?」
見た目はいかにも魔導師のようで、一番最初にでる感想が強そう、だった。
「私はラミ。ただのラミよ!」
「俺は葉月涼太。役職はネクロマンサーだ」
それを聞いた少女――ラミはニヤリとした。
なんだ?ネクロマンサーだからって笑い者のにするのかと思っていたが、全然そんなことはなく、というか『一緒にダンジョンへ行きましょ!』と予想と真逆の返答がきた。
たしか、話を聞いてたって言ってたよな。
多分、俺が可哀想だからなのか?まぁいい。せっかく乗りかかった船だ、乗らない手はない。
「いいぜ、行くかダンジョン。······というかラミ、お前の役職って······」
言いかけた直後、ラミは突然右手を上に向け、俺とラミを囲むように、光が現れた。
なんなんだ、と焦っているとラミも同様に焦った口調で『転移魔法』と言い、そのまま目の前が光に包まれた。
「急にどうした!」
「わ、私、早くダンジョン行きたかったんだあ。へへ」
なにか違和感を感じる。なんと言えばいいのだろうか、この少女はなにかを隠している気がする。
役職の話をしようとした時に焦りが見えたから、まさか?、と思ったが、実際転移魔法なんて凄そうな魔法を使っているし、凄い役職なんだろうと思ったが、一体なにを隠しているんだ?
「ほら、到着!」
「おお。凄いな転移魔法」
一瞬で別の場所に来てしまった。こんな凄い魔法を使えるんだし、もしかしたら、俺は凄い人とパーティを組んでしまったのではないか。
「ここがダンジョンの入口。ここからは私も自信がないから·······協力しましょ」
「お、おう。俺スケルトンしか出せないけど大丈夫か?」
「まぁ、ここは冒険初心者が来る場所だし。私も似たようなものだよ! はは」
ラミは似たようなものだよとか言っていたが、絶対にそんな事ないだろうと思った。
なにせ、転移魔法を使ってるんだから、きっと凄い魔導師に決まっている。まさかね、まさか、ネクロマンサーだったり······いや、ないか。
一瞬そんな疑念が頭をよぎったが、ダンジョンに入るとそんなものは頭から吹き飛んだ。
なかは薄暗く、壁に置かれた松明が明るくしてくれているおかげか、前が見える。きっと松明がなかったら何も見えないほど中は暗い。
「ここのモンスターは強いのか?」
「んー、ゴブリンとかスライムぐらいだから、最初だけだったらね、レベル上げに最適らしいよ」
「ちなみにラミのレベルは?」
「·······」
教えてくれない。さらに言及しようとするとモンスターが現れた。
きっと、あれがゴブリンなのだろう、集団でいて、緑色の肌、鋭い目つきで小柄、片手には短剣のようなものを持っている。
「ほんとに弱いんだな!?」
「う、うん。······よ、弱いと思うよ」
声が震えていた気がしたが気のせいだろう、今は目の前のモンスターに集中だ。
相手は五匹。数なら俺が勝てる。
「スケルトン召喚! 召喚制限十体までだ!」
一応俺は召喚するたびに、百体とか出していたらきりがないので、召喚数を絞る方法を確認していた。
地面から、魔法陣が召喚分出現し、スケルトンが出てくる。そこでさらに命令を下す。
「目の前のゴブリンに突撃!」
召喚したスケルトンが目の前のゴブリンに向かうが、足場が悪く、スケルトンが一体転んでしまい、一体消滅してしまった。
「戦ってもいないのに死ぬのかよ······。ラミ、お前も見てないで手伝ってくれ。······ラミ?」
なにか怯えたような表情で葉月に答える。
「手伝ってもいいけど······怒らない?」
「怒らないから、早く手伝ってくれ!」
何にビビっているのかと思ったが、話している間にもスケルトンは消滅している。
今は猫の手でも借りたいくらいだ。
「じゃ、じゃあ。スケルトン召喚」
ラミはか細い声で、葉月と同じスキルを使用した。
「······は!?」
俺のパーティ全員の役職はなぜか【ネクロマンサー】しかいない 〜異世界に転生した俺だけど、仲間になる奴らの役職が全員【ネクロマンサー】しかいなくて困ってるんだが〜 加奈かすり @akneko0312
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