第3話 知りたくなかった事実
レベルを上げると息巻いたものの、実際どう上げればいいのか分からないので、目先にあった壁に囲まれた街のような場所に向かうことにした。
「――いざ間近で見ると大きな壁だな」
見た目で警備も厳しいと決めつけていたが、そんなことはなく、簡単に街に入れた。
街並みは現実世界だと欧州のような景観で、歩いていて楽しかった。
「······あれは?」
辺りを散策していると、明らかに人が集まっている場所があった。
デカデカと張られた看板には文字が分からなかったが、自然と意味が理解でき、”冒険者ギルド“と書かれていた。
この不思議な感覚もきっと転生する時に天使がくれたものなのだろうと確信した。
意外とあの天使は適当に見えて、最低限のことはやってくれているんだと思った。
俺はレベルに関して聞くにも丁度良いと思い、その冒険者ギルドに向かった。
「······おー、凄いな」
中に入ると騒がしく、酔っぱらいもいれば、明らかに強そうな鎧を身につけた人もいた。
それを見た俺はやっぱり異世界に来たんだ、と実感し、胸の底からワクワク感が込み上げた。
そのワクワクに浸っていたら、受付のような男が、こっちをいかつい顔で見てきていたので、なにかと気になり、話しかけることにした。
「あのー······どうかしましたか?」
「お前、ここは初めてか」
「あ、······はい。最近来たばっかです」
少し重い雰囲気に押されつつ、質問に答える。
もしかして、ここのルールとかに違反したかと思い、緊張感が高まった。
「役職はなんだ」
「ネクロマンサーですけど·······」
それを聞くと目を見開き、可哀想な目をして俺の手を握る。
なぜか知らなかったが、とりあえず心を開いてくれたのだろうと思い、本題のレベル上げついて聞いてみる。
「レベルを上げたいんですけど、どうすればいいんですかね?」
「ん? レベルを上げるなら、お前の場合、仲間を探したほうがいい。見た感じお前レベル0とかだろ?」
「たしかにそうですね·····」
「その時点で、召喚できるスケルトンは弱すぎて魔物を倒せない」
続いて男はレベル上げには魔物を倒すことでしな上げられない、ということを教えてくれた。
だが、俺の役職【ネクロマンサー】関しては一人では何もできないらしく、そこら辺の雑魚ですら倒せないらしい。
だがら、俺に仲間を探すことを推奨したのだろう。
「まぁ、ネクロマンサーは最底辺の役職だしな。レベルを上げても召喚できるのは結局スケルトンだし、仲間になろと思うやつはいないと思うが、気長に頑張れよ」
さり気なく言ってきた“最底辺の役職”と聞き、少しの間唖然としてしまった。
ネクロマンサーの唯一のメリットは周りより魔力量が多いくらいらしい、それ以外は全て平均値なんだと·······。
(知りたくない事実だった·······)
男の話を聞き、絶望して座って落胆していたら、隣の椅子に、突然誰かが座ってきた。
「さっきの話聞いてたわよ! 私が仲間になってあげる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます