ただ話す。そんな簡単なことが、一番難しい。

死期が迫った男が悪魔と名乗る男と会話する。
それだけなのに、ここまで引き込まれるのはなぜなんでしょう。

ただ、話す。
作中で主人公が、普通に話すことすら何年ぶりだろうということを言っていますが、ただの雑談すら、この主人公はできなかったのでしょう。
そして、多分それは悪魔も同じだったのではないかな、と思います。

おそらく二人は、心の深いところまでは話していないのでしょう。ですが、心の深いところでしっかりと繋がっているのでしょう。

最後、悪魔がしてきた格好は、それが悪魔の本当の姿なのか、それとも精一杯のユーモアなのか。
最後のセリフまで含めて、いい読後感の作品でした。

ぜひ、一読をお勧めします。

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