第10話 暗闇の宝石 ー2ー

「うおおおおおおお!あとちょいでセーブポイントなんだろ!グレイ!」

「ああ!あとちょっともう見えてくる!」

「2人とも!あれじゃない?」

「んー…どれだ…?」


奥の方に緑に輝く結界が見えるような…。


「あれだああああああああぁぁぁ!」

「うおっしゃあああああああ!」

「あとちょっと!」


あと30メートル…20…10…5…。


「ゴーーーーーーール!!!!」


直後、追ってきていたコウモリや蛇の大群が結界の壁にぶつかる。


「結構危なかったな…。」

「これ下の階層降りてもこの状態でしょ?」

「多分そうだな。」

「キッツ〜。」

「まあとりあえずテントとか建てるか。」

「はーい。」

「グレイはなにしてんの?」

「5階層のマッピング。」

「オッケー。」


さてと。

このダンジョン常識はずれだから正直どう考えればいいかわからんが5階層までの構造はほぼ同じだった。ただ気掛かりなのが…。


「コイツらこの結界の向こう行こうとしないんだよな…。」


理由はおそらくだけどこの結界の向こうに階段があるから。

そして5階層毎にセーブポイントが置かれている理由。他のダンジョンはセーブポイントなど5階層毎になんて細かく置かれていない。

俺はあくまで予想。仮定の話だが


「6階層から魔物の強さが変わるのか…?」


だとしたら強すぎるとは思うが納得はできる。もう5階層まできてんだ。ここまで追っかけてきた奴らが5階層までの強めの魔物だったのだろう。

6階層からは鬼人とかも出てきそうだし。

いや、出てくるか…?

そもそもここにセーブポイントがあるとわかった理由は前情報があったからだ。

デンポウドリという鳥をつかって5階層までの情報を過去に挑んだ先人たちが残してくれたものを頼りにしてきた。なんで魔力探知使えないこと書かなかったんだか…。

それはいいとして6階層から出てくる魔物はレベルが変わってくるんなら下層にいくにつれて攻略が結構難しくなってくるんじゃないか?

2人の戦闘力をもっと上げなければならないのでは?


「…これ結構やばいな。」


とりあえず行けるところまでは行こうかな…。


「グレイー!テントできたよー!」

「オッケー、ありがとー!」


深く考えない、深く考えない!

行けるとこまでは行こう!


〜翌日〜


「…このダンジョン殺意高くない?」

「ほんと!確実に殺しにくる!」

「2人とも、声の音量下げて!(小声)」


現在岩の影に隠れてモンスターの群れから逃れようとしているところ。

ただどうしたもんかな…。


「コイツら一生ここいんじゃん。」

「匂いとかかなぁ…。」

「キールの悪臭がまさかモンスターを…?」

「おうおう、喧嘩ならかうぜ?」


ボコボコにしてやるよぉ…!

そこでララが言う。


「あ、後ろ…。」

「え?」

「あっ…。」


横に回転しながら回避ぃ!

直後、自分がさっきまでいた場所が砕けちる。


「何故ばれたし。」

「どうせキールの悪臭でしょ!」

「酷くない!?」

「やばいやばいやばい!走れ走れぇ!」


他のモンスターの群れはいないのか!

モンスターの強さが変わってきてるから早くしなければ…!


「リーダー!あっちにホブゴブリンの群れを発見!」

「リーダー!あっちにもいます!」

「リーダー、あっちにも!」

「…いや囲まれてんじゃねぇか!」


お前らもふざけてる暇ねぇだろ!


「…どうする?」

「一点集中で突破するのは全体なんだが…。」

「この層になると相手が強すぎるよね…。」


ジリジリと追い込まれて行く。

どうしたもんかな…。

俺が本気を出せばこんな雑魚共一瞬でチリにできるけどそれだとキール達が成長しない。


(やるならあくまで補助だよな。)


…よしっ。


「2人共!俺が魔法ぶっ放して無理矢理モンスターの群れから道を開ける!階段は多分右側の道から行くとあるから突っ切るぞ!」

「応!」

「わかった!」


よし。

2人とも怖気ついたりはしてないな。


「うし。じゃあ行くぞ…。」


そう言って、俺は両手に魔力をこめる。


「『血槍デッド・スピア』!」


ズガガガガガガッっと音が鳴る。

血の勢いで風が起きる。


「今だ!」

「おらおらおらぁ!」

「流石にもう囲まれたくないー!!」


ごもっともで!


〜数分後〜


「…なんでまた囲まれてんの。」

「そりゃキールとララと俺が殺り切れなかったからだろ…。」

「どうする?」


どうする?さっきみたいに突っ込んでもいいけどキールもララももうボロボロだ。

ここから地上に戻るのも非現実的。

これはあんまりやりたくなかったが…。


「2人とも。」

「なんだ?」

「なあに?」

「俺がこれから真下に穴を開けるから下の階層に降りて。」

「…色々言いたいことはあるけどわかった。」

「というかできるの?」

「多分だけどこのダンジョン破壊しようとしたらできる。でもすぐに直る・・。」

「…なるほど。」

「私はいつでも行けるよ。」

「俺も。」

「おっけー。」


両手にもう一度魔力をこめる。

今度はさっきよりも多く。


「『閃撃』」


瞬間、あたりが白い光につつまれーーー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちょっと今回は文字数が少なくなってしまった…。

キリのいいところで終わらせようとするとどうしてもこうなってしまう…。

次回はちょっと状況が変わります。

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巡る ー第1部ー @TsuOe

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