第2話

「はぁ……疲れた。」


私は額の汗を拭き、階段の端に到着すると同時に、その場に倒れ込んだ。なんて長い階段だろう。もっと楽な道はないのか?例えば、舗装された道とか、車が通れる道とか。


土曜日、私は学校の事務員から手紙を受け取った。それにはお祝いの言葉と、私がこれから通うクラスの住所が書かれていた。月曜日、新学期が始まる。手紙が私に届いたのが少し奇妙に感じた。


なぜ学校は直接伝えなかったのだろう?そうすれば、こんな手紙をわざわざ送る必要もなかったのに。


それにしても、住所が必要なのはなぜだろう?


クラス番号を確認すると、私は「D組」に配属されていた。それが最上位クラスなのか、最下位クラスなのかはどうでもよかった。この学校に入学できただけで十分だ。


私は目を空に向けた。今朝はとても晴れている。


でも、私の気分は晴れていない。


なぜか?


それは、「D組」が丘の上にあるとわかったからだ。それも、メイン校舎のすぐ隣にある丘。そこに行く唯一の道は、数百メートルも続く長い階段だ。


***


「この人、生きてるのかな?」


私は目を開けた。


「おはよう。」


一人の少年が優しく微笑んでいた。


息が荒く、私は部屋の隅々まで目を走らせた。あれ、寝ちゃってたのかな?


「ねえ、落ち着いて。ここは教室だよ。さっき君が教室の庭で倒れてるのを見つけてね。新入生だと思って運んできたんだ。」


これが教室?普通の教室とは全然違う感じがする。この部屋はまるで小屋みたいだ。ただ広くて、壁が分厚い木の板でできている点が違うだけだ。


「ねえ、フィン。君、新入生だよね?」


私はうなずき、何かに気づいた。顔が真っ赤になり、机から飛び降りた。


その少女は笑った。「リラックスしてよ、フィン。自分の家だと思ってね。私はペルシア、隣町から来たんだ。」ペルシアは手を差し伸べた。


私はそれを聞いて目を見開いた。隣町?あの裕福な人が大多数を占める町?お金持ちと友達になれるなんて、なんてラッキーなんだろう。


私はゆっくりとその手を握り返した。


「彼はガレンっていうの。同じ村の出身で、幼い頃から一緒にいるの。」少女はにっこり微笑んだ。


ガレンは微笑んだ。「よろしく、新入生。この学期、君たちの面倒を見るのは僕の役目だ。早く馴染めるといいね。」


私はゆっくりとうなずいた。


「あ、そうだ。他のみんなも紹介するね。」


「僕の隣にいるがっしりした男はソニっていうんだ。彼は機械の専門家だから、君の乗り物が壊れたらソニに任せればいいよ。」その男性はクスクス笑った。「そして、長い髪の彼はヌク・パナ。みんなはパナって呼んでるよ。彼はプログラムの専門家。ハッキングやゲームのことなら、彼が一番だ。」


「ソニ、ペルシア、そしてパナは僕と同じ学年で、教室は隣だよ。三年生は今のところ僕たち三人だけ。そして新入生は君たち二人だけだ。」


「じゃあ、二年生はどうなの?」


「去年、このD組に入る人はいなかったんだ。」


私は目を見開いて信じられなかった。この教室はたった五人しかいないの?


その少年は笑った。「驚いたでしょ。このクラスは学力が平均以下の生徒用だから、入学者がいない年もあるんだ。でも、ここにいるみんなはいい人ばかりだよ。」


私はうなずき、目は長髪の少年に向けられた。キーボードを叩く音がとても大きい。それも片手だけで。右手はリンゴを食べるために使っている。


そのパナの隣の席には、ピンク色の髪をした少女がカバンの中身をすべて出している。


あの少女は何をしているのだろう?


「あの子は君と同じ新入生だよ。僕たちが君を教室に運んだ後、15分くらいしてやってきた。それからずっとカバンの中を引っ掻き回してるけど、何を探してるのかはわからない。」ガレンが説明した。


「あの子の名前は?」私は尋ねた。


ガレンは肩をすくめた。「知らないよ。聞いてみたけど、答えなかったからね。」


私はその子のところに歩み寄った。


「え……」


足が勝手に動いているような気がした。ピンク色の髪の少女の顔が、どこか懐かしく感じる。私たちは以前どこかで会ったことがあるのだろうか?


でも、どこで?


私は少女がカバンを荒らし続けないように、その手を押さえた。


「おお、新学期初日から手を握るなんて、大胆だね!」ソニが冗談を飛ばす。


「何のこと?」私は首をかしげた。


「フィン、君の手が……」


私はハッと気づいて、すぐに手を離した。顔が真っ赤になり、みんなが笑い声をあげた。どうして私はそんな大胆なことをしたんだろう?


「ごめん。」


「気にしないで。」少女はそう言うと、またカバンの中を探り始めた。


「何を探してるの?」


「鉛筆。」


少女の声を聞いて、私は言葉を失った。なんて冷たい声なんだろう。顔も無表情だ。


ガレンが自分の筆記用具入れからシャープペンを取り出した。それを私は受け取り、少女に差し出した。


「多分家に忘れたんだね。これ、使って。」


少女はそれを受け取ると、スケッチブックを取り出して何かを描き始めた。


「ありがとう」の一言もなしに。


私は息を吐いて振り返り、ガレンたちの方へ戻った。


「フィン、君、あの子と話せるなんてすごいね。」


「別に普通だよ。ただ、彼女は話すのが面倒だったんじゃない?」


「学年が違うからかしら?」ペルシアが尋ねた。


私は肩をすくめた。「どうだろうね。」


部屋はしばし静まり返った。私の目は再び部屋の周りを見回した。スズメのさえずりが部屋中に響き、窓から入るそよ風が心地よさを運んできた。こんな快適な教室は初めてだ。


やがてガレンたちは自分たちの教室に戻っていった。壁掛け時計を見て、私は一つのことに気づいた。


「そういえば、さっきから先生が全然来ないけど?」


ガレンは微笑んだ。「うん、だって先生は来ないんだ。」


「そうなんだ。」私は答えたが、数秒後、「えっ?!」と驚きの声を上げた。


***


午後の空にはカラスが鳴き声を響かせていた。


私は椅子から立ち上がり、教室を出た。深呼吸をして、「退屈だな……このクラスの毎日って何も変わらないの?」と呟いた。


「えっ、そんなことないよ。私たちのルーティンは日々変わるの。むしろ変わらないのは、メイン校舎での勉強くらいだよ。」ペルシアが隣に立って答えた。


「君がまだ打ち込める趣味を見つけていないだけだよ。」ガレンが続けた。


「趣味?」


「そう。趣味って、自分の意志でやりたくなる活動のことだよ。普通、人は少なくとも一つは趣味を持っているんだ。さっき君が見たペルシアや同級生の女の子みたいに、絵を描くのが得意だったり、プログラムを作ったりする人もいる。アンジェラは小説を書くのが得意で、すでに一、二冊出版しているんだ。」


一瞬の静寂。


趣味……私にはどんな趣味があるだろう?これまでの人生、何一つ変わったことなんてなかった。ずっと退屈だった。「どうやったら趣味が見つかるの?」


ガレン、ソニ、ペルシアが一斉に笑い出した。


私は顔を赤らめて、「何がおかしいんだよ!」と抗議した。


「それは君自身の才能だからね。誰にでも長所と短所があって、その長所は趣味から見つかるものなんだよ。ただし、ドラマを見たり、ゲームをしたりするだけじゃなくて、本当に役立つ趣味のことを指しているんだ。君にしかわからないよ。」ペルシアが答えた。


「そうそう。」ガレンも同意した。


私は黙り込んだ。


「そういえば、あの同級生の女の子、まだ絵に集中してるみたいだけど、帰るように声をかけたら?」ペルシアが提案した。


「わかった。誘ってみるよ。」


「よし、じゃあ私たちは先に行くね。」


私は振り返りながら手を振り返し、教室に戻った。小さな廊下を通りながら、ペルシアの言葉が頭を離れなかった。


私の才能って、一体何だろう?そんなもの、あるわけがない。


ドアノブに手をかけて開けると、ピンク髪の少女はまだ絵に集中していた。時計を見ると、午後3時を回っている。今片付けなければ、学割の最終バスに乗り遅れてしまうだろう。


私は近づいた。


「私を誘いに来たの?」彼女が言った。


驚いて私はうなずいた。どうして彼女はそれがわかったんだろう?


少女はスケッチブックから一枚紙を破り取り、荷物を片付け始めた。そして、すぐに帰る準備を整えた。


「行こう。」


少女は私の制服の袖を引っ張った。


「ちょっと待って……」


私は振り返った。「どうしたの?」


彼女は長い髪を耳の後ろにかけ、一枚の紙を差し出した。


「私に?」


彼女は答えず、私は紙を受け取った。多分、私へのプレゼントなのだろう。


紙を裏返すと、そこには驚くほど美しい絵が描かれていた。鉛筆だけで、まるで現実のように描かれた絵。


その中心に描かれているのは……私?


***


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