フィンとその言葉
@Aleynshino
第1話
朝の空気は澄んでいて、オレンジ色に染まった木々の葉が次々と舞い落ちている。冬の訪れが近いことを告げるかのように、木々はその葉を静かに手放していた。ベッドから起き上がると、カーテンを開け、日の光を身体に浴びた。
いつものように、町は通勤の人々や休日を楽しむ若者たちで賑わっている。
休日にもかかわらず働き続ける人たちの姿を見て、少し同情の気持ちが湧いてくる。スマホに集中する彼らの顔は、まるでそれ以外の世界には興味がないかのように真剣だ。そんな人々をよそに、ふと目に入ったのは公園のベンチに座って寄り添う二組のカップル。
じっと二人を見つめていると、ふと疑問が浮かぶ。
彼らはいつもこの公園にやって来る。時には朝、時には夕方。その二人の間に漂うのは、恋人同士の甘い時間というよりは、何かもっと純粋で優しい時間が流れているように見えた。時折、教科書が二人の間に置かれていることもあって、どこか普通とは違う関係性を感じさせる。
「もし僕がもっと賢かったら、こんな風に特別な誰かと時間を過ごせるんだろうか?」
そんな考えが頭をよぎるが、すぐに首を振ってその考えを追い払う。そして、タオルを手に取り、顔を拭くと、朝の冷たさと共に一日が始まる気がした。
洗面所で顔を洗い、タオルで軽く拭いてから、ベッドに戻る。まだ頭に引っかかる考えがあるが、それを振り払うようにして制服に袖を通す。今日は校長先生に会うようにとの連絡があり、学校へ向かう準備をしなければならなかった。どうせなら、くだらないことを考えずに、目の前のことに集中するべきだと思う。今、一番考えるべきはどうやって高校に進学するかだ。
他の人と違って、僕の成績はずっと標準以下で、七を超えたことがない。勉強しても成績が上がらない。友達と一緒に勉強することも、塾に通うことも試してみたが、何一つ成果が上がらないのだ。
一体僕はどうしてこうなんだろう?
「フィン・アンディタ君、入ってください。」
緊張した足取りでドアの向こうへ進み、「校長室」と書かれたプレートの下で一瞬立ち止まった後、深呼吸をしてからドアノブを押した。目の前にいるのは白髪のヒゲをたくわえた痩せた体型の男性。彼こそが噂の校長先生なのだろうか。
「どうぞ、お掛けください。」
言われるままに、緑色のソファーに腰掛けると、校長先生は静かに僕の方を向いて口を開いた。
「フィン・アンディタ君だね。」
「はい、そうです。」思わず声が小さくなる。
「おめでとう。君は見事に合格した。」
一瞬、時間が止まったような感覚がした。目を見開き、耳に届いた言葉を何度も反芻する。
数か月前、学校の掲示板で募集ポスターを見つけた。その学校は、新入生に対して奨学金のチャンスを提供しており、僕は簡単そうな条件につい惹かれて応募した。そして数週間後、入学試験が始まった。思った以上にスムーズに試験は進み、最後には全身が震えるほど緊張しながら問題を解き終えた。
ポスターに記された学校名を見た時、ここがこの国で最も優れた学校であることに気づき、急に緊張が押し寄せ、三日三晩高熱に悩まされたのを覚えている。
それでも、こんな僕がなぜ合格できたのだろうか?校長先生がなぜ僕を選んだのか、その理由が理解できない。
校長室を出ると、信じられない気持ちと喜びが入り混じって、思わず校舎の正門へと走り出した。そして、胸いっぱいに大声で叫んだ。
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