悪夢

5人の前で黒い円は消える。

「もう逃さないよ!」

アーニアの一太刀が円を真っ二つにする。


「結界張れたよ!リックくん!」

シュタインの声が響くと同時に、ドラム、アーニアは目を輝かせる。

クラバは呆れた顔をする。


「訓練の時間だね!」

アーニアが無邪気に言うが、4人以外はポカンとする。

「今日は、好きなだけやっていいぞ。」

リックがそう言うと4人はまた魔族の元へと向かっていく。


「その5人は魔族だぞ!」

シュタインが止めるように叫ぶが、4人は歩みを止めない。

「いい訓練になるじゃないですか。」


「舐めてくれるじゃない。」

ハイラルドがそう言うと、ラフレシア、ドリアン、ソニック、カインズの目が赤く光り、4人の首が飛んだ。

「悪夢を見せてあげるわよ!!」


それから2時間、リック、アーニア、ドラム、クラバはひたすら死に続けた。

結界があるとはいえ、死の苦痛は軽減されない。

だが2時間ひたすら反撃どころか、防御すら許されない。


さらに1時間後、防御が生まれ始める。

さらに1時間後、反撃が生まれ始める。

さらに1時間後、4人が攻勢に出始める。

さらに1時間後、魔族たちは防戦一方になる。

さらに1時間後、魔族たちは死に始める。

さらに1時間後、魔族たちは反撃どころか、防御すら許されなくなった。

さらに1時間後、リックたちは飽きたように攻撃の手を止めた。


「あ...悪夢だ...」

そう言って死に疲れた5人は地面にへたり込んだ。

初めは圧倒していた5人も9時間後には歯が立たないほど、4人は成長していた。

気づけば空は暗くなっていた。


ハイラルドにリックは尋ねる。

「どこで僕の百人一首を聞いたことがあるんだ?」

ハイラルドは静かに答える。

「フジワラノテイカ...」


聞いたこともない単語にリックは戸惑う。

新しいスキルなのか、魔族の名前なのか、見当もつかない。

戸惑うリックをよそに、ハイラルドは話し始める。



「魔族に伝わる、あるおとぎ話だ。」

そういって、魔族にとって悪夢とも言える伝説を語り始めた。

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スキル:百人一首で趣を大切に無双する 舞天 @DanceKy

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