第14話 底知れない魔力②
俺もステラに呼応するように自分の異空間から、こないだ町でギルマスに作ってもらったばかりの魔剣を取り出す。
その魔剣の見た目は刀だが、魔力が込められている。
そして、使用者の身体能力を限界まで高めることができるというものだ、これは入学試験までお預けだったんだが、ちょうどいい。
【魔剣ですか…魔力が秘められていますね。それにや身体能力向上の効果ですか…いい剣をお持ちで】
「お褒めにあずかり光栄だっ!」
ステラに向かって強く踏み込む、格段にあのときの委員長と戦ったときより速い踏み込みだったのだが、ステラはそれをやはり予想していたかのように翻り、俺の背中をとんと押す。
「ステラ…やっぱり未来が…」
【いい剣筋だと思いました、次は私の番です】
ステラは剣を振り、振り、振る。俺も必死にその動きに追いつく。
しかし完全に専守側に立ってしまった、なんとかしないと…
「ここだっ!」
【なっ!】
ステラの剣に一瞬、ほんと瞬きするほんのわずかなその一瞬のミスを見つけ、そのミスの間を縫うように剣を弾く。そして、弾いたところを魔力矢で一気にステラを囲む。
「どうだ…ステラ、この攻撃は避けれない。
【
詠唱魔術でステラがそう言うと、ステラから衝撃波が発生し、向かっていたはずの矢は吹き飛ばされ、俺も2~3メートル後方へ吹き飛んだ。
【これが、戦うときは最後まで油断してはいけない理由です】
そして、倒れた俺にステラはすぐ寄ってきて、顎元に剣の先端を向ける。
くっ、まだだ、まだフォースで…
【反魔法領域を展開しております。なので、私の勝ち確定です】
「くそぉ…」
少しの誇らしげが混ざったステラの一言で俺はやはり負けたんだなと感じる。
絶対ステラ以外だったら勝ってた…
【惜しかったですね…あの場面魔力矢ではなく、
「どうせそうしても負けてただろ」
【はい、しかし、お見事でした】
ステラはこの後、俺には魔術、剣術両方の才能があると言った。
そして、どちらかを決めて、どちらかだけを伸ばす必要はないと。
魔術を学び、探求したステラこそ言えることなのだが、
【魔術師の道に走ることはあまり推奨できかねます。明確な目標がなければ、魔術を見失い、魔術を使いこなすはずであったのに、魔の生贄になってしまいます】
「どういうことだ…?」
するとステラは腕を組み、険しい表情をして語る。
【魔術学院は大変立派なところですし、優秀な魔術師を数多く輩出しています。しかし、覚えておいてほしいのが卒業できる生徒は入学者数の約半分だというデータが出ています。では、残りの半分はどうなるのか…】
俺は生唾を飲み込む。
【約半分のうち、一割ほどは成績不振、怪我などによる自主退学ですが、残りの四割の生徒は…死にます。いや、魔の生贄にされます】
「…そんな…」
ステラの話によれば、魔術を見失ったもの、魔術の才に恵まれない者などは、魔術に落ちてしまい、最終的には魔術師たちが使用する魔力の底知れない魔力の根源になってしまうのだ。
魔力は体内で生成される…ならばいくらよかっただろうか。
俺たちがいるこの異空間も、ステラが使った魔剣やフォースも、体内ですでにある魔力の形を変えただけにすぎない。
魔力というものが体内で生成されないことはすでに立証済みらしい。
では、その魔力はどこからきているのか…それは魔が生物を取り込むことにより、生成する。つまり、魔に生贄をささげることで、魔力は作られるのだ。
じゃあこう考えないか?
「ってことは…魔術学院は自ら成績が振るわない生徒を魔の生贄にしている…」
【いいえ。彼らが使う魔術の魔の部分が強すぎただけです。それにより、魔術が暴走し、魔術に彼ら生徒が取り込まれます】
どうやら魔術には本来、「魔」が存在しているのだという。
そして、その存在している魔を二割から三割くらいコントロールにすることで、ようやく術者が操れるようになるらしい。
存在する「魔」の割合を高めれば高めるほどより強い魔術となるが、高めすぎると魔術が暴走し、制御不能になるのだという。
【よって、私はこのようなリスクを恐れて主様を魔術学院に入学させたくはありません…】
「ステラ…心配してくれてありがとう」
その瞬間、ステラは急に倒れる。同時に、異空間も崩壊し、もといた自室に戻る。
どういうことだ!?
「おいステラ!しっかりしろ!おい!」
【ーーーっ…】
異世界に飛ばされたら超越者とかいう最強のジョブをもらいました~この世界いろいろやばいですがこのジョブとともに頑張ろうと思います 水無月のん @nonkundes
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