第3話

冒険者ギルド

「なぁ。父さん俺冒険者になりたいんだ。」


「ああ。いいぞ。」


「いいわよ。」


3時間前に謎の爺さんからスキル[センス◎]を手に入れた俺とサイは、[センス◎]についてしばらく研究した。しばらくの間お互いを殴り合ったらスキル[殴り屋]と[頑強]を手に入れた。[殴り屋]は殴る力が強くなるスキル[頑強]は殴られてもあまりダメージを受けなくなるスキルだ。しかしこの力はすごい。普通は10年は掛かると言われているスキル習得をたった2時間程度で習得できるとは、俺とサイは憧れのスキルを手に入れて興奮し、すぐに冒険者になろうという結論に達した。そして冒頭に戻る。


父から帰ってきた返事はあっさりとしていた。冒険者になるという事はこの村から出て町の方まで行き、冒険者ギルドにいかなくてはならない。しかもこの村は一番近い町のケンシャの町まで歩いて一週間はかかるクソ田舎だ。まあ、二度と会えなくなる訳ではないのだが、べ、別に両親に心配されなくて悲しかった訳じゃないんだからね!


そして翌日、父は一振りの剣を、母はそこそこの金と干し芋などの長持ちする食料を渡してくれた。父がくれた剣は何やら不思議な力が3回だけ使えるらしく、ピンチの時に使えと言われた。どんな力か聞いてみたが秘密らしい。最後に両親とハグをした。この年になって恥ずかしいと思ったが、中々悪くないものであった。そして玄関まで駆け出す。


「行ってきます!!」


「「行ってらっしゃい!」」


両親の声が俺の背中を押した。俺が家の門から出るとそこにはサイがいてドヤ顔立っていた。


 「行こうぜ!」


「おう!」


どうかこの冒険が楽しくなりますように。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 俺とサイは村を出てケンシャの町へ向かった。俺はチラリとサイの方をみたが、やけにサイの荷物が少ない。


「そういやお前って何持ってきたの?」


「まぁみてなって。」


サイは自分の手に持っている小さな袋を見せてくる。そしてその小さな袋に手を突っ込むと中からパンが何個も出てきた。


「すげぇ!何それ!?」


「ああ!なんかマジック巾着っていって一杯物を入れる事ができる魔法道具らしいぜ!」


名前ださくね?いやそれよりも魔法道具ってすごいな。魔法道具とはなんらかの特殊な魔法がかかった道具の事で、ダンジョンの最奥からしか見つからないとても貴重な物である。稀に道具屋で売っている事もあるらしいが、値段が高く最低でも金貨100枚は必要らしい。ちなみに金貨10枚で普通の家が一軒立つぐらいだ。


「よくそんな高価な物を持っていたなぁ。どこで手に入れたんだ?」


「俺の家道具屋だから、両親に冒険者になるって言ったらくれたぜ!」


「ふぅーん。ちょっと貸して。」


「あいよ。」


サイが袋をポンと投げた。


「ぐぉぉぉ!?」


俺は受け取ろうとしたが巾着が重くて落としてしまった。


ドォン!


巾着が落ちた地面にはヒビが入っていた。


「なんだよこれ!?どうなってんだ!?」


「ああーそれか、いっぱい入るんだけど物の重さはそのままだからな、かなり重いと思う。」


「じゃあなんでお前はもててんだ!?」


「なんか昨日荷下ろししてたらスキル[力持ち]を手に入れたから持てたぜ!」


なんでこいつちゃっかり新しいスキルを持ってんだよ!羨ましい!畜生!それだけ!


そしてなんだかんだ喋りながら歩いていたら意外と早くケンシャの町が見えてきた。俺達はケンシャの町に向かって駆け出した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


町に入る門を抜けるそこは賑やかな町であった。俺の足のパンパンで、隣から65点ぐらいの男が「おねぇさーんおねぇさーん。」と道行く女性にナンパして振られていた。


 「おい!何してんだ!」


俺はサイの頭を引っ叩く。


「いてぇ!すまねぇ俺らの村にはババアしかいなかったから若い人をみてちょっと興奮しちまったぜ!ほら!あの姉さんなんか最高だろ!」


「確かに・・」


俺とサイが産まれた村は若い人がほとんどいなく、若い女性に飢えていた。この前サイが村のクエラさん58歳に手を握られた時にドキッとなった聞いた時にはそろそろヤベェと思った。まぁ、俺は宿屋に色んな客が泊まりに来たから大丈夫だったけどな!まぁサイがナンパするのも無理はない。成功する訳ないけど。


俺達はその後冒険者ギルドまで行き、冒険者登録をすることにした。


冒険者ギルドに入ると屈強な男達が沢山いた。するとサイが急に来ていた服を脱ぎ始めドヤ顔でタンクトップ姿になったが、ヒョロヒョロなため全然見栄えがしない。何してんのこいつ。


「おいボウズ!冷やかしなら帰んな!子供じゃ危険だ!もっと鍛えた方がいいと思うぜ!」


入口付近で酒を飲んでいた一際屈強な男が俺達に向かって声を上げた。怖い。


「おいおいおい!!冷やかしかどうか試してみるか!?おっさん!!」


なぜかタンクトップ姿のサイがオラついて前に出てきた。


「ヘッヘッヘ!!買ってやろうじゃねぇかその喧嘩!!とりあえず店に迷惑がかからないように外にでやがれ!!」


多分この人いい人だわ。


「おいおいおい!!Bランクの剛力のハゲルが新入りと喧嘩するらしいぜぇ!」


「見に行こうぜぇ!!」


「負けんなよハゲル!!」


サイとハゲルが外に出る。するとハゲルが屈伸したり腕を回したりし始めた。


「おいおい!ボウズ!準備体操は冒険者の基本だぜ!?怪我して病院送りになってもしらねぇぞ!?」


「流石分かってるぜ!ハゲルはよぉ!冒険者の洗礼を受けさせてやれぇ!」


「くっ!」


サイはハゲルと同じように屈伸したり準備体操をし始めた。どこに「「くっ!」」ってなる要素あったの。


3分後・・・


「ヘッヘッヘ!じゃあ始めようか!ルールは金的、鳩尾、眼球などの攻撃はなし!もちろん噛みつきと頭突きは無しだぜ!倒れた相手への攻撃は無し!まいったって言ったら!即座に終了だぜ!絶対相手を殺すなよ!」


「ふん。イカれたやつだぜ」


確かにこの風貌でこの発言はイカれてるよ。


「じゃあ!用意!始め!」


「「うぉぉぉぉ!!!!」」


ハゲルとサイが同時に駆け出した。ハゲルは巨体に似合わない素早さでサイの方に近づいた。そしてハゲルがサイの顔面に向かってまるでハンマーのように拳を振るう。


 バキィ!


「ぐぅ!?」


サイはよろめくが倒れはしない。そしてサイもお返しとばかりにハゲルの顔に向かって殴り返した。


「ぐぉぉぉ!?」


ハゲルも吹っ飛ぶが、倒れはしない。


「やるじゃねぇか小僧!!」


鼻血を舌で舐めながらハゲルはそう言った。ダメージは多分ハゲルの方が大きいな。


「へっへ!!だが!こっからだぜ!!」


ハゲルが何やらぶつぶつと呪文を唱える。


「ヒーリング!!」


するとハゲルの手が光だす。そしてみるみるハゲルの傷が癒えていく。多分ヒーリングが一番使えなさそうな顔をしているのになんで使えんの。


「あ!!おっさんそれずるい!」


「ヘッヘッヘ!確かに!じゃあもう一発殴っていいよ!!」


「そうさせて貰うぜ!」


サイが助走をつけてハゲルに殴りかかろうとする。


するとサイとハゲルの間に何やら小さな影が割り込んだ。


「そこまでだ。大人しくしろ。」


そこには、鉢巻きを巻いた人物がサイの手を握り締めていた。


_________________________________________

ベンとハゲルの!スキル紹介!!

ハ「ヘッヘッヘ!今日は俺がサイの代わりにゲストとして来てやったぜ!感謝しな!!」

べ「ありがとうございます。」

ハ「ヘッヘッヘ!どういたしまして!今回紹介するのは[力持ち]っていうスキルだ!」

べ「ああ。サイがもってますよね。」

ハ「ああ!これは色んな重い物を持ったりする作業をしていると手に入れる事ができるスキルだぜ!実は俺も持っているぜ!」

べ「すごい!流石冒険者ですね!」

ハ「いや、違う俺はこのスキルを前職の介護をする事によって手に入れてやったぜ!」

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