超短編で長期編
月見
始まりであり、終わり
昨日のことで、誰もいない夜中の道を1人鼻歌を歌いながら歩いていたら、前から人が歩いてくるものだから、(こんな時間に、珍しいな...)とか思って歩いてた。隣を通り過ぎたところで、見覚えのある顔に立ち止まった。でも、別に話しかけなくていいって思ったし、会話すんのもめんどくさかったし。でも次の日、急にそいつが家に来て、
「昨日の夜中、道であったよね!」
とか何とか言ってきたから、とりあえずあったねって言って家にあげた。まあでもそんなことよくあるかって思ってたから、普通に家でお菓子食べたり、ゲームしたりして遊んでた。そしたら、そいつが突然立ち上がって帰るって言い始めた。でも、まだ5時ぐらいだったけど結構暗かったから車で送ろうとしたら、
「歩いて帰るからだいじょーぶ!」
って満面の笑みで返して来た。その2日後、テレビで、こんな内容が流れてきた。
「一昨日、12月28日。▓▓県▓▓市でのスーパーで、大規模な火災が発生しました。」
びっくりだよね。自分の行きつけのスーパーだったもん。ふと思った。(そういやあの時あいつ来なかったら、スーパー行ってたな。)SNSでお礼言おうと思ってアプリ開いたら、どこを探してもそいつの名前が出てこない。そこで気づいた。もう死んでる。あいつもう死んでる。じゃあなんで昔俺をいじめてたあいつがうちに来るんだ?未練でもあったのか?そもそも誰に殺された?分からなかった。何も分からなかった。いや、ひとつわかったことがある。結局そいつも、人間だったわ。
超短編で長期編 月見 @tukimi0722
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