第2話 車のないサービスエリア
そのサービスエリアには、どこにも車が見当たらなかった。
『これはどっちとして捉えたらいいのかな?』
「もう全員逃げ切ったのか、もしくは全員逃げ切られなかったか。何にしろ、少なくとも前者は考えたくないな。」
『まあでも、こんなところでうだうだ考えてても助かる命が助からない可能性が出るだけだから、行こう。』
「ああ、そうだな。」
私達は警戒しながら、外側から順番に調べてみる。
『外側にはいないようだなー』
「じゃあ中か。」
私達は細心の注意を払って中に入っていく。
したら、最初に罠だ。
『うおっ』
「無礼だな。」
『確かに、これはちょっとやだね。随分なご挨拶だ。』
私達は気配の向く方に進んでいく。
『真壁!避けろ!』
岸辺の怒鳴り声が聞こえた。私はとっさに天井へ避ける。
『誰だ!』
返事は返ってこない。その後、警戒をしてしばらく硬直する。
「行くか。」
私たちは暗がりに足を踏み入れる。
辺りには木の欠片のような匂いが充満している。
すると、奥から先程と同じ攻撃が飛んでくる。
「岸辺、奴を仕留めるぞ。」
『ああ。』
私は勢いよく前に飛び出す。ある程度近づいたところで私は腰周りにセットしていた中でも5メートルのメジャーを選び、握りしめ、構える。
私がそれを握りしめ、相手を殴る。
カラッ……
何かが落ちた音がした。
私は恐る恐る近づく。
「……岸辺、これはどうやら嵌められた様だな。」
『ああ。』
完全に騙されてしまった。先程まで私が戦っていた相手は、精巧に造られた機械人形のようだ。
「成程な。道理で同じ攻撃しかして来ないわけだ。」
先程まで仕掛けてきていた攻撃は似てるなんてものじゃない。全く同じだ。
そこに入り口の罠も加えてだ。あれは、私たちに中にいる機械人形が本命だと思わさせるための撒き餌だ。
『考えてる暇はない。早く行くぞ。中にいた客全員、連れていかれているかもしれない。
……?なんだこれは。』
岸辺が一枚の紙切れを拾い上げた。
”二人、私たちは成田にいる。テネシー行きの便を調べてみろ。”
『……これはブラフだな。』
「ああ。まずは先にここの周辺を捜索してみるべきだ。」
私はスマートフォンを取り出す。
「それにこれ、成田空港のチケット販売ページではもうすでにテネシー行きの便は無いと書いてある。」
すると、車のエンジン音が聞こえる。
『……さっきまで車はなかったはずだ!急げ!』
弾性形状恐怖心 真壁一誠 @makabe_issei
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