12、クリスマス

 娘と同じ目線で見る、家の中。家の中なのに、大冒険していた娘。


 段々と視線が上がってきて、現実味が増してくる視界。


 娘は、家の中では部屋で、ひとりの時間が増えていった。新しい洋服を買えば、鏡の前でくるんっとファッションショー。


 視界は外の景色を映すようになり、素敵な人とも出会えた。


「ほとんどの親は、子どもがハイハイしてる頃までなのに……。うちって変わってるよね」

「あんたがカチューシャ気に入りすぎて外さなかっただけなんだから」

「カメラついてるって知ってたら外しましたぁ〜! ほんと最低」


 体に埋め込んで……そういうタイプが多いけど、無痛分娩が主流になってる時にあたしはお腹を痛めて産むことを選択した。娘に痛い思いはさせたくなかった。

 娘が言うように赤ちゃんの頃までだ。スマホに連携させて、見守れるようにと。

 運良く娘がカチューシャを気に入ったのと、カメラには全てが保存されるから、いつの日か二人で見れたらいいと想像していた。


 高校二年の娘。こんなにも早く見る日が来るとは思ってなかった。クリスマス、特別な日だからいっか。


「 あんたが結婚するときとか、これ使ったら?」

「最後に出てくる男子は、結婚相手に失礼じゃない?」

「誰しも初恋はあるものなのに。気になるもの?」

「気になるでしょ」


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