第2話 物語の開幕:冒険者ギルド

冒険者ギルドの扉を押して入ってみると、チリンチリンと小さな鈴が鳴った。

ギルドの内装は、壁と床が白で統一されていて植物が沢山飾っている。

左側の大きな空間には机と椅子が置いてあり、何人かの人物が居て、ボクを物珍しいものを見る目で見つめていた。



ボクのことを知っているか、それとも子供が冒険者に?と思う反応なのかな?


気にすることは無いので無視して前に進もうと思ったけど、大きな看板が空中に浮いて上下に浮かんでいた。



どうなってるのこの看板……自我があったりして!!


なんてね。





看板にはこう書かれている。



冒険者ギルドへようこそ!!



1階 冒険者手続き

2階 武器取り扱いコーナー

3階 トレーニングルーム

4階 ぬこの部屋

地下 冒険ランク突破施設、その他、イベント



などが書かれていた。



とりあえずぬこの部屋が無性に気になるし、モフりたいんだが!!



カウンターらしき場所には遠くからでも分かるような大きなマッチョの姿をした男が、腕を組んでボクを勧誘しているかのような笑顔を浮かべている。


その巨大マッチョおじに近付きながら、姿を観察する。



身長は約2m程のようで堅いの良い体に、今にも破れそうなピチピチの白いタンクトップ。

髪の毛が見えない程深く被っているニット帽。




髪の毛が見えないんじゃなくて、そもそも無いって説もあるけどね!



カウンターらしき場所に近付き、巨大マッチョおじを見上げた。

すると、巨大マッチョおじはボクを見下ろしてニコニコしながら話しかけて来た。




「お嬢ちゃん、冒険者になりに来たのかな?」



巨大マッチョおじは、少し低い声でニコニコして腕を組む。




いつも笑顔を振り撒く人って怒らせたらヤバいから気を付けないと……


そんなことを考えながらボクは頷く。




「それじゃ、この同意書に名前を書くのじゃ、名前だけでいいぞ!」




巨大マッチョおじに同意書とペンを渡されたので、その同意書に書こうとペンを持つと『バンッ!!」っと大きな音がギルド内に響き渡った。




「お前みたいなガギが冒険者になったって足手まといにしかならねぇんだよ!!」



なんだなんだ?



とりあえず、冷静にならないと……感情が釣られて表情に出るとどうしても、

顔全体に焼けるような、何かで思いっきり打たれたような激痛が走る。



なんでこうなるのかは、未だ分からない。




深呼吸でもしよっかな……

ゆっくりと空気を吸い込んで、またゆっくり吐き出す。深呼吸すると自然と心がほぐれて行くのは、未だに不思議だ。



よし、とりあえずアイツ一発殴るか。



冷静になった結果そう思い、後ろを振り返ると……



いつの間にそこに居た巨大マッチョおじが、泡を吹いて気絶してる男の髪を乱暴に掴み引きずっている光景を目にした。

その姿はカウンターの奥にある暗くてよく見えない場所に男を引きずり込んで姿を消した。




呆気に取られながらも、渡された同意書にペンで名前を書くことにした。



Stella



名前を書いて1分ぐらい経つと、何事もなかったかのように巨大マッチョおじがニコニコした笑みを浮かべて1人で出て来た。



この先は考えないようにしようと思い、胸の奥に閉まって巨大マッチョおじに同意書を渡した。


すると、鈴の音が鳴った。



誰か来た!



足音をコツコツと足音を立てると同時に、ザワつきが聞こえてくる。

なんとなく、後ろを振り向いて入ってきた人物を見てみた。

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