三歩目『蚯蚓鳴く(みみずなく)』

少し道を入ると

シンとした

人気ひとけの無いところに出た


涼む場所があれば

立ち止まっていたかもしれない


実際には、ただ

通り過ぎただけ


けれど後になっても

やけに

記憶に残ることがある


私は

何でも

相手に伝えるように

しているのだけれど


それでも

時々

魚の小骨が

喉につかえたように

声が出せない事がある


静かに

深夜

ひっそりと

声を抑えて


秋はね

夜が長くて

月が綺麗だ。



     Fin.





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歩く詩集『秋風』 ヒニヨル @hiniyoru

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