カラオケから始まる百合
暴走天使アリス
カラオケから始まる百合
女子高生。言い方を変えるとJK。今を楽しく生きることをモットーにしている私たちは、花の女子高校生を余すことなく楽しむためこの5人でたくさんのことをしてきた。
今日も今日とて放課後にカラオケに行くという、いかにも学生らしい選択を取った私たちは学校近くのカラオケへと向かっていた。
「あ"あ"あ"…ガチ暑い」
「女の子が出していい声じゃないんだが笑」
「このアイスうま」
「……あの女の人かわい」
めっちゃうるさいし話題もしっちゃかめっちゃかだけどこの空気感が楽だし楽しい。
前を歩く3人は5人組の中でも特によく絡んでいる3人で、特にうるさい組でもある。悪口では無い。
私の隣を歩き、女の人を観察しているこの変態は自称ビアンの子で私とよく絡んでいる。確かに距離感近いけど別にビアンじゃないと思ってるけど……真実は知らない。
そして当然ながら私も女子高生。人に絡んでいくこと大好きなのでしっかりと絡んでいく。
「ねぇー?何ほかの女見てんの?私がいるだろ」
「えー、ごめんなさい〜。でも私はゆき一筋だよ」
自称ビアンであるならばこちらもそれに乗っかるのが筋。このノリはもはや恒例行事なのだ。
「うわぁ、出たよ百合カプ」
「いいぞもっとやれ〜」
「アイス無いなった…」
このノリが好きだし、楽しい。こんな絡みができる子は隣の子、かなとしか出来ないからしっかりと楽しまなきゃ。
「ほら、3人とも。面のいい女が並んでる姿は貴重だよ?写真撮ってもいいよ」
実際顔はいい方だ。可愛くなるための努力は惜しまない。これこそ女子高生だろう。
「はいはい、いつか撮るからカラオケ早く入ろ。暑くて死ぬ」
「りょーかい」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「はぁぁぁぁ、涼しい」
「それなー」
「飲み物とてくる…」
ガチで涼しい。カラオケは涼むためのものだったのか。
「ゆきー、なんか歌いなよ」
「えー?じゃあかなにこの歌を捧げちゃおっかな」
「〜〜〜〜♪〜〜♪♪」
「いやヘッタクソだね」
「うける」
「はぁぁ?黙れし。上手いから。耳が腐ってんじゃない???」
くそぅ…実際下手なんだよなぁ…上手くなりたい
「じゃあ次は私が最愛のゆきに歌ってあげようかなっと」
「おー、ぜひ聞かせてくれー」
「〜〜♪〜〜〜〜〜♪〜〜〜♪」
………うっま。
「え、いやいや上手すぎん?」
「ゆきのことを想ってただけだよ」
「まじ?愛してる」
「くそ、イチャつきやがって、目が腐る」
「百合は良いねぇ」
「このジュース美味しい」
本当に上手かったなぁ。声の透明感ヤバすぎだし、歌手みたいだった。あれ本当に私に向けて歌ってたら惚れちゃうわー
「うわぁぁ!ムカつくーー!こうなったら罰ゲームありで点数勝負しよ」
「え、いいじゃん。面白そう」
「…罰ゲームは、点数高い人が点数低い人にキス……でどう?」
……おっと?
これはまずい方向に悪ふざけが進んでないかな?しかも発案者が意外すぎる!!!なんで急にそんなことを!
「……ありだね。ゆき、やろっか」
「お、おう」
なんか目が据わってない?
「罰ゲームのルール追加していい?」
「お、かな珍しいね?そんなこと提案すんの」
「まあね。ルールは勝った人の点数と同じ時間キスをする…ってのどうかな」
「うける笑めっちゃいいじゃん」
か、かなぁぁぁぁぁ!?なんでそんなこと提案するの????私への嫌がらせなの?私が下手なのさっき判明しちゃったよね?なぜ!
「ね、ねぇ?さすがにキスすんのは違うかなぁ…なんて」
「いやー、まあそうかもだけどさ。あたしら仲良いし、問題無いかなって。あと単純に百合キスみてみたい」
おーまいごっと。私キスなんてしたことないんだけど。本気で頑張んなきゃファーストキス失っちゃうんだけど!?
「トップバッターあたし行きまーす」
「〜♪〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪」
「77.581!まあまあでしょ」
「じゃあ次は私だな。リア充を滅亡させる」
「〜〜!〜〜〜♪〜〜!!!」
「65.251…ふぅ、気持ちを込めすぎたかな」
「リア充への怒りが伝わってきたよ」
「…次やる」
「〜〜〜〜〜♪〜♪〜〜♪」
「81.113…よき」
みんな上手いなぁ…私だけ下手…絶対負けたじゃん…ファーストキスがぁぁぁ
「ゆき、先歌いなよ」
「ぅぅ…頑張る」
「〜〜…〜ーーー♪……〜♪」
「50.953………うわぁぁぁぁぁ!」
「おつ、下手すぎ」
「安定の下手さやねぇ」
「…下手」
辛辣すぎ!!!
「じゃあゆき。応援しててね」
素直に応援できないって…
あとなんでそんなに目が据わってるの?こわいよ?
逃げたい
「〜♪〜〜!〜〜〜♪〜〜♪」
「97.852」
いや高すぎでしょ。テレビとかでしか見たことないってそんな点数。
「おぉ、てことはかながゆきにキスすんのね。結局こうなるのか…リア充め」
「はよ百合キスみして」
「…喉痛い」
くそぉ…何とかならんものか
「か、かな?ホントにするの?」
「当たり前でしょ?…こんなチャンス二度とないだろうし」
うわぁぁぁジリジリ近寄ってくるの怖いってー!
「大丈夫……絶対虜にしてみせる」
ぅぅぅ。なんか怖いこと言ってるし優しくではあるけど腕時計抑えられてるし…逃げ場がない。……てか何…ガチでビアンなの?目が怖い…ぅぅさよなら私のファーストキス
「するね?……んっ…」
「タイマースタート〜」
おおぅ…くちびる柔らか…
てか、肌綺麗だなぁ…あ、目合った。
ッッ…微笑みかけるの反則…
「…なんかエロいな」
「いやそれな」
「…こうなるって分かってた」
あぁ…見られてるし、めっちゃ恥ずい…。あと何秒なの…
ッッッ…なに!?…舌入れるのありなの!?
ちょっと、ま…
「んー!んん〜!」
「んぁ…大丈夫だから…舌出して」
仕方なく舌を出す。本当に仕方なくだから。顔と声と雰囲気に流されたわけでは断じてない。ないったらない。
ッ…あ、…唾液流してくる…なんか、変な気分になってきたし…
「んっ、んぁ…ふぅ…ん、んんっ」
途中から…記憶が曖昧で…お互いの舌を絡ませて唾液を送りあって…なんか、すっごく良かった。
「はいはいはい。おふたりさーん。時間ですよー?どうしてもって言うなら家で続きでもなんなりしてねぇー」
「んぁ?………はっ、いま、なにを」
やっば、意識曖昧なんだけど。身体熱い…あと恥ずかしい…!!!
「なんか、すっごいもの見せてもらったわー」
「…やっと、くっつくかな…」
「さて、ゆき?…今から家、来ない?」
「ッッ!…………うぅぅ…いく!」
こんなの、行くしかないじゃん。
あとはお察しの通り。付き合うことになったし食われるのも秒読みだったよね。
これからの高校生活…楽しみかも
カラオケから始まる百合 暴走天使アリス @mahosama
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