宇宙兵器。地球はもういらない。

夕日ゆうや

最新システム

『繰り返す。所属不明機、応答せよ!』

 俺は宇宙戦闘機の中でその言葉を聞く。

《あいつらに捕まっちゃダメ》

「あいよ。りょーかい」

 俺はの声を聞き、宇宙戦闘機をベガの方向へと向ける。

『こちらは第八独立宇宙軍。警告を無視した貴船に対し、攻撃を開始する』

 発射されたミサイルを機銃で撃ち落とす。

「ははは。こんなオモチャで倒せるとでも? リリス!!」

《もう人使いの荒い人ね。任させて》

 宇宙戦闘機の翼からミサイルが発射される。

 ミサイルは寸分違わず、敵衛星兵器に突き刺さり、爆発。

「目標迎撃。これでシドニーは救われた」

《わたし眠いわ》

「もう少し待ってくれよ。リリス」

 俺は機体を反転させて戦闘空域から離脱する。

 宇宙は広い。

 なのに人の心はこれほど狭いのか。

「まあ、平和になるまで俺たちが刈り取るしかないか」

《わたしはもう寝るね。おやすみ》

「ああ。おやすみ」

 そう言うとコントロール系に警告信号がでる。

 操船するだけならさほど問題でもない。

 だが、戦闘システムは完全に沈黙している。

 人をシステムに組み込んだ――非人道的な実験結果によるXシステム。

 対Gスーツの上着のボタンを少し外し、俺はAIによる自動操縦に切り替える。

 月まで39時間。


 宇宙での兵器開発が始まって十年。

 ついに宇宙軍再編計画による地球の排除が始まった。

 意見の対立、住む場所の違い、人種、価値観、信ずるもの、経済的な対立。

 人と人が争うにはじゅうぶんな材料があった。

 人は平等ではない。

 命の価値に差がある。

 だから争う。

 だから戦う。


 人は争い続ける。

 これまでも、これからも……。


 俺は闘い続ける。


                             ~完~

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