幼馴染たちの間で思いつきの様に始まった
リモート怪談。しかも流行りのAIに様々な
状況を学習させて怪談を創り出させると
いう斬新な試み。
百物語 を しよう。
きっと怖い話が出来るに違いない。いや
それ以上に
誰も思い付かない様な話を。
怪談は一つずつ増えて行く。同時に彼等の
無意識の中に入り込む 何か が少しずつ
増殖して行く。
彼等の間に一体、何があったのか。
ちょっとした思いつきで始めてしまった
怪談創作は、いつの間にか 縛り となり
幾つもの物語の挟間で無明の時空を彷徨う
事を余儀なくされる。
始めてしまったならば、最後。
絶対に途中で止める事は許されない。
もし、止めてしまったら…。
※多分、途中で最も焦ったのは。
誰あろう作者本人ではないだろうか。
AIに作らせた怪談で百物語をする!
今は別々の高校に通う中学の同級生達が集まり、そんな遊びが始まった。
怖がる者、面白がる者、下心を抱く者、観察する者。
それぞれの思惑がありつつも、オンラインで進む百物語。
AI特有の不気味でおかしな怪談に首を傾げながらも、少年少女はそれを楽しんでいた。
その日が来るまでは……
*
特筆すべきは、作者様がAIに寄せて書いておられると思われる怪談の特殊性でしょう。
奇妙で珍妙。
それなのに、背中に纏わりつく嫌な気配がたまりません。
これは怪談なのか?と疑わしいものから、ゾゾゾと背筋が凍るモノまで、その数なんと百物語。
AIの怪異が現実にはみ出したのか?
あるいは現実の怪異が新たなフィールドを得たのか?
その答えはどうぞご自分の目でお確かめください。
高校生となり、離ればなれになった中学時代の同級生たち。
彼らが、容易に楽しめるレクリエーションとして企画した、AIを使ったリモート怪談大会が展開されます。
最初のうちAIの語る怪談は、どこか強引で、取って付けたような恐怖が描かれるばかりの微妙なものばかり。けれど、回を重ねる毎に「何を学習しているのか」不気味さを増した話となって行きます。
そして、徐々にそれらAI怪談が、現実世界にリンクしている予感が漂い始め……!?
参加者たちの身に何かが起こるのか!?
AIは、最後に何を語るのか!?
読み進めるごとに、参加者たちと同じ目線で恐怖心が増して行く、不思議な感覚の物語です!
大勢で集まって順番に怪談を語る日本の伝統的な怪談会、百物語。百話目を話し終えると妖怪や幽霊など本物の怪異に遭遇するとかしないとか……
本作の主人公たちも、この百物語をして遊びます。ただ、一般的な百物語とはちがう点もあって、彼らは直接顔を合わせるのではなくリモートで集まり、怪談話はAIに作らせています。とても現代的な怪談会なのです。
AIに作らせるということは、語られる怪談は完全な創作と分かっているわけで、参加者はみんな軽いノリで参加しています。
なのですが、会がすすむうちに現実世界でも不可解なことが起きはじめて……
冒頭は楽しそうに始まるのですが、さすがはホラー作品。進むうちに、どんどんと雲行きが怪しくなっていきます。
AIが作る怪談はどこか足りなくて、最初は微妙だなという空気だったのです。それが、現実世界で不思議な出来事が起こり始めたあたりから、微妙だと思っていた物足りなさが恐ろしいものに思えてきて……すごく臨場感がありました!
主人公は無事に百物語を終えることができるのか……ドキドキしながら見守っています。