ひとりの空間が恋しい時がある

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

最近、ふと強く思うことがある。それは、静かな場所で、誰にも干渉されないひとりの時間が欲しいということだ。ずっとひとりでいる必要はない。半日でもいい、ほんの少しの間だけでも、誰の影響を受けない空間に身を置きたい。頭をからっぽにして、何も考えず、ただひとりで過ごす時間が欲しい。


夜になれば、少しの間だけひとりの時間が確保できることがある。だけど、それでも足りないと感じることが増えている。カラオケに行くのが好きな理由のひとつも、実はこの「ひとりになれる空間」を求めているからかもしれない。月に一度、カラオケに行くことは自分の大切なルーティンだけど、それでも満たされない空白が残る。月に一度だけでは、足りないのだ。


実家で暮らしていると、ひとりの時間というものがどうしても限られてしまう。特に両親が高齢だと、あれこれ気を使ったり、手助けが必要になったりして、自然と自分の時間が削られていく。もちろん家族のためにすることに対して不満があるわけではないけれど、やはり自分自身の心を休めるための「ひとりの時間」が必要だと痛感している。


何かを特別にしたいわけではない。ただ、ひとりの空間が欲しい。誰にも干渉されず、何にも追われず、ただ自分自身と向き合える時間。それが、心の健康にとってどれだけ重要なのか、最近になってますます実感している。


ひとりで過ごす時間は、単に静かだからリラックスできるというわけではない。誰かと一緒にいるときに感じる無意識の緊張や、他者との会話や行動に対する反応をしないで済む「完全な自由」があるからだ。この空間こそが、自分をリセットし、心を穏やかに保つために欠かせないのだ。


ひとりの時間を確保することは、現代の忙しい生活の中で難しいかもしれない。特に実家暮らしや介護、家族との生活の中では、さらに難易度が上がる。でも、自分の心と体を大切にするためには、その時間をどこかで確保しなければならないと思っている。

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ひとりの空間が恋しい時がある 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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