戦姫絶唱シンフォギアCoC

狐ヶ崎ナズナ

第1話

EP1 魔剣・リオニス

これは立花響たちの物語とは別の次元の話

異世界とのつながりが濃く、現実の世界では存在しない物質である未知の聖遺物が発見され研究対象となっている世界

星の瞬く夜、彼はそれに出会う

大学で平凡な生活を送る一人の青年がいた。髪は黒髪で少し長めの塩顔ではあるがどこかはかない印象を受ける青年だ

「お前ら次の講義サボるなよ、言い訳考えてやってる方の身にもなってくれよ」

「いつも助かるよ紫音、まあ俺たちは何も返してないけどな」

友と話している青年の名は有栖川紫音、異世界の聖遺物研究で有名になった有栖川家の次期当主候補だ。

紫音は苦笑いをし、全くと呟くも笑顔は崩していないので満更でもないのだろう。

友に別れの挨拶をし、離れていく紫音を見て友は言う

「ほんと何であんな恵まれてる奴がうちの大学なんて来たんだろうな。」

「人には言えないことの一つや二つあるだろ、紫音もそういうのあるんじゃねーの?」

「そういうもんかねえ…」

帰路につく紫音の足は重かった。

その理由は有栖川家にあった、父の有栖川健一は紫音を当主にしようと躍起になっている。

紫音は何物にも縛られず自由に生きたいと思っているので当主にはなりたくないと考えているのだ。家に帰る時間を少しでも長くしたいと遠い大学を選んだ父から離れ一人暮らしをしようと思ったが父から監視されそれも難しかった。

(あんな家に何の未練もない、俺は自由に生きたい)

紫音は心の中で考えながら家に向かっていた

家に着くころには日が落ち完全に暗くなっていた。

紫音が家に着くなり従者が出迎えに来る

「紫音様、大学は楽しかったですか」

「龍崎出迎えはしなくていいと言ったはずだが?」

龍崎と呼ばれた初老の男性は少し俯き言った

「そうはいきません今日はお父様、健一様とお話をする日ですからな」

「…龍崎知ってると思うが、俺は親父が嫌いだ

自分の研究の為なら何でも犠牲にする親父を好きになれるはずもないだろう

そんな奴と何を話すって?」

「当主についてのお話です」

龍崎がそう言うと紫音は悔しそうに壁を殴る。

「またそれか!もういい加減にしてくれ!

俺は自由に生きたいだけだ当主なんてどうでもいいんだ!」

「紫音様のお気持ちはわかっております

しかし健一様にとってもまた大事な時なのです

それをわかってください」

紫音は無言で自分の部屋に戻り荷物を置く、そして着替え父の待つ部屋へと向かう

「来たか」

身長2m近くの男性は紫音が来たことを察し、腕を組む

「紫音ただいま戻りました」

「うむ、龍崎から聞いていると思うが紫音お前には当主になってもらいたい」

健一がそう言うと紫音は床をお思い切り叩いた。

そして…

「いい加減にしてくれ!俺はそんなものになりたくて生きているわけじゃない!

ただ自由を求めているだけだ!」

「有栖川家の全てが手に入るんだぞ?研究成果も何もかも」

「いらん!」

紫音はそう言って部屋を出ていってしまった。

そして紫音は自室近くの縁側に腰をかけ星を見ている。

(星は自由でいいよな…

俺も何者にも縛られず生きたい)

紫音がそう思い部屋に戻ろうとするその時、地面に青く輝く宝石のようなものがあった。

(何だこれ

親父が作ってるシンフォギアに似ているが、色は青だ

…頭の中に歌が)

「Another leonis exist tron」

何も変化はないが父親である健一が飛び出してきた

「それを返せ!それは使ってはいけないギアだ!」

紫音はただ事ではないと走って逃げてしまう。

一心不乱に逃げ、着いたのは友人、友成 詠斗の家だった。

「助けてくれ!」

「うおっ!?紫音!?

なんでこんな時間に!?」

詠斗は迷わず紫音を自宅に入れた

「お前こんな時間になんだってうちの近くに来たんだ?」

「…言えないな」

「言いたくねぇなら別にいいよ

でも親と喧嘩したとかならちゃんと謝ったほうがいいぞ

事情は知らねえけどさ」

詠斗は笑いながら話すと紫音は安心したような顔を詠斗に見せる

「そう…かもな」

「こんな時までクールに決めてんじゃねーよ

この塩顔イケメンが!」

「何だそれ貶してんのか!?」

「バーカほめてんだよ!」

この何気ないやり取りそれこそ紫音の求めた自由

これがいつまでも続けばいいと思った

翌朝、紫音は目覚め詠斗と共に大学に向かう

その時黒い影を見た

黒い影は人の後ろを歩いていたり人にくっついていたりする

何が起こっているかわからなかった

(なんだよこれ…

影?とにかくなんか変なものが見える

俺もおかしくなったか?)

紫音は考え事をするが詠斗はそれを見て笑い出す

「真剣な顔して何考えてるんだ

お前が考え事なんてするようなタイプに見えないから笑っちゃったよ」

「なぁ、詠斗

影見えないか

人とは違う

あの人の後ろとかさ」

それを聞いた詠斗は再び吹き出す

「今度はオカルトかよ

急に拗らせちゃったんか?

紫音、おめー疲れてんだよ

学校休んだ方がいいんじゃねぇか?」

「いや、昨日は8時間寝た

お前も見たろ」

紫音がそう言うと詠斗は頭を掻く

ため息混じりで詠斗は言う

「そういうんじゃなくてストレスとかだよ

心の疲れが幻覚として見えてんじゃないの?って言ってんの」

「そういうのもあるのか」

詠斗は苦笑いをしている

まさかここまで冗談が通じないとは紫音は思ったよりも鈍感らしい

「ま、まぁ講義受けてたら気にならねぇんじゃねぇの?」

紫音達が大学に着くと

その影は無数にいた紫音には見えているが友人には見えていない

そして…

「まだ影見えんの?」

「ああ、無数にいる」

友人は苦笑いをするしか無かった

信じてやりたいが自分が見えていないので信じられないと言ったところだろう

「紫音。俺お前のことどう助けたらいいかわかんねぇ」

「友成、こっちこそ変なこと言ってすまんな

見えないもの信じろというのは無理があるな」

紫音は首に青いギアをかけた

何かをする訳では無いがお守り代わりだろう

その直後大学の駐車場から爆発音がする

「何の音だ!?」

「友成!お前はすぐ逃げろ!」

「逃げろって…紫音おめーはどうすんだよ!?」

「すぐ戻る!」

紫音は詠斗の静止も聞かずに駐車場に向かう

駐車場に向かう途中影が見える

やはりあの影が原因だ

影が車を破壊している

紫音はギアを片手に持つそして

あの時頭に流れた歌をもう一度…

(今なら誰も見ていない

俺に力を貸してくれ!)

「Another leonis exist tron」

左手首にはサークル状のパーツがつき、右手首には小さなアームガード、膝のパーツは隆起し、手足は鉤爪のようになっていた

ギアは展開前とは異なり石灰化したようになっていた

極めつけは紫音が女性になっていることだ

(最も適したカタチ…ということか)

そして紫音が歌ったあと影は実態化した

「お前たちはシャドウノイズと言うのか

ギアが…いや、魔剣・リオニスが教えてくれる」

シャドウノイズは腕を伸ばしてくるがそれも虚しくリオニスに切断される

「リオニス、力を貸してくれ!」

紫音がそう望むとリオニスは今の状況に最も適した形、剣の形になる

紫音はそれをサークル状のアームパーツに接続する

-Holy Edge-

それは無数の弾丸となりシャドウノイズに放たれる

シャドウノイズは塵となり消えていくがそこに一人の人間がいる

その人間にはシャドウノイズが取り憑いている「もっと爆発させなきゃ…もっと壊さなきゃ」

(あの人を攻撃するなんてできない

実質人質じゃないか…!)

紫音が戸惑っていると空から歌が聞こえる

「Wish orthoros tron」

その歌と友に少女は変身した

ギアは展開され、犬耳のようなヘッドホン

手足の爪は犬のように鋭くなっている

足部分や腕部分は四足歩行しやすいようにか突起は抑えられている

「ボクに任せて!」

少女は高速で走り出すとシャドウノイズに噛み付いた

取り憑かれた人物を傷つけないよう最小限の動きだった

「すごい…」

紫音は思わず声を漏らした

そして少女はシャドウノイズを噛み砕き変身を解除した

「これで戦いは終わったね

ボクは犬束鳴

お姉さんは?」

「あ、あぁ…

俺は紫音」

紫音は苗字を名乗らなかった

有栖川家というのを知られたくなかったのだろう

「よろしくね

紫音さん

また会うかもしれないからまたねって言っておくね〜」

鳴はそう言うと走り去ってしまった

(嵐のような子だったな)

紫音もギアを解除するが女性のままだった

(これ戻らないのか?今日はこのまま早退するか…)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

戦姫絶唱シンフォギアCoC 狐ヶ崎ナズナ @claudia_398

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ