女の不条理男の無理解

白川津 中々

「それは100%お前が悪い」



 女と別れたという知人Aの話を聞いて俺はそう断言した。




「どうしてぇ?」




 納得できないA。それはそうだ。仮に俺が奴でも許す事はできないだろう。男の大半はそう考える。しかし、男と同様に、女の大半は男が悪いと口を揃えるのだ。それを理解していないというのであれば、やはり非は男側にある。




「確かに彼女の行動は看過できない、けれどもね。それは男の視点での話。女には女特有の考え方があるんだよ」


「どんな? 俺、会社にまで乗り込まれたんですよ? 約束が違うじゃないですか」




 Aと彼女は互いの仕事や趣味、極めて個人な内情には干渉しないという協定を結んでいた。アポなしでの会社訪問は完全に違反行為。Aはその協定を破った事に対して憤慨し、離別を切り出したのだという。




「そうだな。約束を破るのはいけない。当たり前の事だ。幼稚園児だって分かる」


「だったらやっぱり俺悪くなくないっすか?」


「いいや悪いね」


「だから、なんでぇ?」


「彼女だってその約束を破りたくなかったろうさ。破ったらいけないとも分かっていただろう。なにせ幼稚園児でも分かる道理なんだからね。でも、あえて駄目だと分かっていて破ったんだ。それは何故か」


「……なんで?」


「分からんか?」


「分からないっす」


「だから別れる運びとなった。その原因はお前にある。完全にお前が悪い」


「釈然としない……」


「そんなもんよ」




 どれだけ綺麗事を言っていても性別による差異は絶対にある。平等とはその差異をいかにして受け入れるかだ。女の女たる不条理な部分はもう仕方がない。その代わり、多くの女は男の仕様のない部分を容認し甘受している。世界はそうやって回っているのだ。それを忘れちゃいかん。




「……しかしあれですね。そちら様、女の事そんだけ知ってて擁護できるのに、なんで童貞なんですかね?」


「ほっとけ!」




 理解のある彼君は存外需要がない。

 これもまた、容認しなければならない女の不条理である。


 今年こそ、彼女を作ろう……

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