第40話Understanding/Closer

“Turns out, you are a stranger to me.”


 体ごとに複数の穴が一瞬で作られた。そこから大量の血が流れ続け、最中に吐血もする。あまり変わらないその顔から判断すれば、撃たれたことを気付かなかったそうだ。


 小さな穴が多くても、少数が大きく、特に胸元の穴、そこから撃ち手の姿がはっきりと見えているほど。


 すぐに倒れて、何もできなかった自分がただそれを見ているだけ。あの顔をもう一度見極めて、まだ何も気付かなかったのが本当によかった。


 どうせ、戦いは紫織に似合えないものだ。脈を確かめて、まだ生存していると分かっていても、そのまま長くさせることもできない。


 私を待っているよう、秩序神の代理人が自分を紹介して、紫織が全然死亡しないと怪しく言う。あの微笑みから判断すれば信頼できないものだ。


 人を打ち倒したくせに、プロトンが戦ってほしくないと、簡単に言った。説得のように、私がそれを信じるように言い方と音調を遣っている。


 信用するつもりはなくても、無茶に攻めるのが危険なところだ。優位が誰にあるのも分からずに、奴の言葉を通じて充分まで聞き込んでいる。


 潜在能力を収める特定な人の限界を開けさせるために来たと、紫織に視線を注ぎながら奴はそう言った。きっと、他の何かがあると疑惑が出るけど、そこから知りたいこともある。


 紫織はどんな力を潜めているか?確かに、彼女をずっと戦いから引かせているけど、それは力の問題じゃなかった。


 最初に会った頃、無意識に自分を社会から隔てるように強敵な化け物を創っていた。それも自分の能力を分からない状態で。


 今も、方法は知らなくても、紫織が一体の代行者を1人で倒した。あり得ないほどの達成度、きっと強い謎の力が彼女に潜んでいる。


 それでも、その限界がなくなれば、正しい判断になるのか?


 仮令強烈な力を持っていても、精神状態が悪くあれば、裏目に出られないのか?リスクが高すぎることだ。


 気まぐれの人だ。それを知っているだけで、彼女を戦わせる人がいるのか?正しさのために戦えなさそうで、人の命を奪わずにいられるものだったら、そうさせる人だけでもなく、紫織にも悪効果が出るに違いない。


 だけど、何故代行者を1人で倒したわけか?汚れるこの街の市民を守っていたわけなら、そのことがもう守護者に値するものじゃないか?


 老人の死体を連れた理由はその死体を処分するため、殺した後に。街中に泣いていた被害者が幾らでもいて、近くに性犯罪者の死体が見えていた。


 恐らく、正しいものだけど、救った理由は自分のトラウマであれば、衝撃的な戦う理由はまさに危険なものだ。


 だけど、私も連中もそうじゃないの?個人的な問題を契機にして、その後は理由を区別せずに正しくある限り他人を守り始めた。


 こう考慮すれば、紫織のことをまだ分からないと気付いた。もう数ヶ月ほど一緒にいるのに、近くもできない。


 子供みたいに紫織を思って扱ってきたから、大事なことを見逃して、彼女のことを理解できなくなった。時が戻れるものなら、きっと彼女のことをもっと理解しようとする。


 でも、それはこの後でもできるものだ。だからこそ、意識が戻った時、完全に理解できるまで彼女と話し合うのだ、それだけで自分が許されるかもしれない。


 同じ微笑みで、プロトンが結晶のようなものを持って、紫織の元へ歩いていく。胸元に大きな穴は結晶に貫かせるためだと、嘲笑って言った。


 ——なら、奴の胸元はこの剣に貫かせるためである。


 突きを見せずに、戸惑わせるまま奴を攻め続け、紫織から離れているように。


 簡単な戦いにはなれないと知っている。奴は反撃しはじめる時、本当の戦いが始めたというわけだ。


 優位が私にある。負傷を抱えながら戦うのだから、集中できなくなるもの。その傷が癒せる前に、倒す方法を見つけなければいけないというのだ。


 怒りをその顔が見せ始めたら、パンチだけがビルを壊せて、吐き出す光線が遠くまで届けて、当たられなくても揺れる地面が中々邪魔なものになる。


 段々壊滅的、段々高速的、段々嫌味だけがその口から出られている。圧倒されているのは認めているけど、その負傷が全然癒せないまま、増えているのが本当に助けるものだ。


 長くすれば、必ず倒されると思うから、強烈な一撃で打ち殺すつもりだ。残すビルを利用して、騙し隠れながら力を剣に集中している。


 だけど、やっぱり代行者は代理人と繋がるもの。


 紫織の言葉なら、化け物というものだ。今、あの化け物が被害者を人質にする。まだ足りないよう、その狂おしさを超えて、化け物は被害者を陰湿に遣っている。


 あの女たちの顔に深い恐怖、見えなくてももう分かる感情。私にとって、紫織と少し違って、このものが化け物だけじゃなく、ただのゴミだ。


 こう見れば、衝撃的になるのが当たり前だ。多分、これを見た紫織が一気に奴を殺そうとしていた。きっと彼女にとって、こんなことがもっと心苦しいもの。


 だから、知らないうちに、ゴミの後ろに現れて、奴を一撃で打ち倒す。


 ゴミが遠くまで押しつぶされたら、紫織は被害者を安全なところへ導いている。致命傷がまだ癒せずに、紫織は被害者の安全を優先にしている。


 限界があるものだから、急に倒れても、幸いにもう安全なところに。被害者たちから離れて、瀕死の紫織を連れている。実は彼女をそこで休ませたかったが、どう説得してもできなかった。


 被害者たちが狙われないようにそこから離れている途中、紫織は急に笑っている、泣きながらも。何も言わずに、彼女はただそうして私を抱いている。


 気付くのが遅かったかも、深く悔しくなる。最後まで彼女と日々を過ごしたくなるのだと、今度は確かめていた。そうなれるように、優しく慰めようとしながら、援助を待っている。


 なんか、いい感じだからって、もう2人だけじゃなくなったと気付かなかった。久稔の声が聞こえたら、背負い込んだ負担が軽くなる。


 そうだけど、彼女は朗報と凶報を伝えると真面目な顔で言った。


 朗報は薬剤があるから、紫織が救われるわけだ。


 凶報は、あのゴミが戻って、復活した代行者と共に。


“The unchanging bonds is so precious that should be considered as blessing.”

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Last Recrudescence 睡眠者 @suiminsha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ