第39話Companion/Monster

“The feelings I could not tell, yet you understand it.”


 ずっと一人ぼっちだったわたしだから、少し間だけで彼女と離れてしまっても、こんなに寂しくなるわけだ。


 一人になったら、これほど不器用なわたし、何も目指さずに、街中にただうろうろしているだけ。とても苦しい感情だ。


 今を思って、何をするべきかと、うやむやに自問自答している。彼女を探しに行く必要はないけど、この気持ちがずっと押し付けるもの、女が必ず戻ると知っているのに。


 彼女がいなければ、この人生が無意味になると思う。更に、彼女がいなければ、この人生がきっとこの日までは続けなかった。だから、ずっと大切にしたいと思う。


 なお、彼女がすぐに戻ってくれるチャンスを偶然に見つけたんだ。


 頭がマンタのよう、外骨格みたいな鎧、尻尾は2本で蠍みたいの毒針。虫の声をして、あの代行者が何も壊さずに、わたしのようにただ無意味にうろうろしているそう。


 それでも、きっと打ち殺す義務があるの。あの偉大な代行者を退治するため、きっと彼女が気づいたらすぐにここに来る。


 なんて、嬉しい感情だ。とても嬉しくて、悲しくなってしまう……今も頭に浮かんでいるこの思い、ずっと前から拒もうとしている思いだ。


 彼女がくれたものが全部なのに、わたしはまだ何も上げられない。今は代行者が現れたのに、していることは頼り事でもなく、ただ馬鹿みたいに彼女を待っている。


 ずっと彼女のそばにいたいと思うけど、彼女もそう思ってくれるのかな?そもそも、そう思えるのか?そう思えるようには何をすべきものなのか?


 自分の人生にとって、彼女がとても大切な人だけど、彼女の人生にとって、わたしは小さいものかもしれない。じゃないと、多分邪魔者だ。


 それはわたしの思いに過ぎなかったと願っていても、その思いが何回までも戻り続ける。多分、彼女のことがまだ心に残る限り。


 少しイラついた顔を見たことがあっても、ゴミなど言われたことはない。嫌っているわけはない可能性があるとしても、ただ感情を収める可能性もある。


 今、離れている理由はわたしを最後まで取り残すためじゃないといいけど、そうであれば驚くべきこともじゃないでしょう。


 もし、ここに戻ってくる理由は、ただその代行者を倒すためだけなら、また連れてくれるのでしょうか?


 もっと最悪にすれば、戻ってくる彼女だけど、その前はこの代行者にわたしが殺されるまでを待つ彼女だ。


 悩みに捕らわれるつもりはないけど、結局ずっとこうなってしまって仕方ないんだ。


 目指しもののない代行者、あなたは一体何のために生まれたのか?なんで、この滲む時に姿をわたしの前に現したのか?


 わたしという人、あなたに映し出されるものかなんで、わたしたちが似ていると感じられるの?到底似合わないものなのに。


 どうか、この心や思いを読んで、全てを手に取るように、答えてください。何かで、わたしとあなたが繋がっているのか?同じ気持ちを抱いているのか?


 近くと遠くで聞こえる絶叫と悲鳴がこの願いを満たしたもの。全てを知りえるよう、馴染み深いものが、この心を動かせている。


 ゴミのわたしは、愛しい人に夢中し過ぎて、執着にたくましく縛られながら、身を隠すままで思う存分性欲に身を委ねる。


 この愛が伝えられない以上、そのまま続くと思う。だけど、それは許せないものだと、ずっと知っている。


 性欲は当たり前でも、侵害は許せないもの。一度、手込めの化け物から放れたわたしも、あまりにも憂鬱に縛られて、同じ化け物になってしまうの?


 悲しませてだけはまだ受け入れるけど、それ以上はもうできない。それを思って、このままで続くと彼女から永遠に離れてしまえばいいじゃないか?


 中途半端な化け物のわたしが、痛みや怒りを癒せるように、見えている化け物たちを皆殺しに行く。どう思っていても、あんな化け物がこの世界にいる権利を持っていない。


 あの時と同じ声、わたしが響いた声だ。聞こえなくて届けなかった声が、今のように聞こえていればいい。それよりも、その声がなければいいけど、ただ夢の願いだ。


 わたしと同じ顔、同じ仕草、同じ抵抗、同じ反応、大抵が同じだ。だけど、結末だけが同じにさせないように、体が走っている。


 正気を失うほど犯された人は、やがて何もできなくなれば、所為を背負い込むのはあの被害者だ。他人は何も知らなくて、何も理解しようとしない。


 確かに、代行者と繋がっている、あんな嫌なところで。息を止めた化け物よりも、罪深い化け物だ。

 せめて、今日だけが無意味な日にはなれない……。


 感じ取れた代行者が一気に消えた、この街にたどり着いた時。調べてみたら、山ほどの死体が見つけられている。


 ——汚れる街だと気付き始めている。


 代行者の亡骸がバラバラと見つけ始めて、それに沿って、流れている血が段々増えていく。その果て、全てが明らかになる。


 血まみれの紫織が、白い家屋から出て、お年寄りの死体を連れながら。わけも分からずに、彼女はただ私に嬉しそうに微笑んでいる。


“Even an empty shell will eventually find its meaning of existence.”

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