僕とフツウ

Veroki-Kika

第1話

「三人とも……ごめんな……」

 少し寂しそうなお父さんの声。なんで悲しそうなのか僕には……よくわからなくて……

「剣。早く……お父さんの車に乗りなさい……」

 お母さんも……寂しそうな声でそう言った。僕と,姉さん。あと,兄さんは同じように,少し……びっくりしたような顔でお父さんたちをみていた。

 車に乗って……真っ暗な道を走る。いつもは来ない道。普段はこんな夜中にどこかに出かけるなんてないのに……

「兄さん……何が……起きているの……?」

 そう聞いたけど,兄さんもわからないらしくて……首を傾げた。

 時刻は午後十時。普段だったらもう寝ている時間。僕たちを乗せた車は,迷いなく走っていった。

 一時間ほど経った時……

「ついたぞ……」

 お父さんの声で僕は目を開けた。

「えっ……」

 車から降りた僕は驚いた声を漏らしてしまった。姉さんに兄さんもだ。

 そこが……空港だったから……

「お父さん……?お母さん……?ここ……空港だよ……」

「いいから……早くきなさい」

 僕はお母さんに押し切られ……飛行場へと入っていった。

 何か…嫌な予感を感じながら。

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