第22話
「さて、味方の兵士達を巻き込んでまで、攻撃してきて、実際、何の成果もあげられていませんけど。これは、どうなんでしょう?」
「先程、あなたは、兵士達を役立たずとおっしゃってました。しかし、私に傷を与えられていない。何も起きていない事から判断すると、あなたは、あなた自身をどう評価しますか?」
黒髪の青年は、ホムラに語りかける。
その姿は、まるで、自分も大した成果あげられ無いくせに、部下に散々ダメ出しする上司に対して、正論を言ってしまう人のようだ。
「客観的に見て、同じでは無いかと思うのですが…」
兵士達は思った。それは言わない方が良いんじゃ無いかと。
「要するに、あなたの価値観だと、あなた自身も役立たずになりますが、どうお考えですか?」
兵士達は思った。それは言っちゃダメなやつと。
「いや、兵士達の方が上かもしれませんね。彼らは、少なくとも味方を巻き込みませんでしたし。」
「味方を巻き込んで成果をあげられなかった者、味方を巻き込まずに成果をあげられなかった者、これは前者の方が役立たずで雑魚じゃないですか?」
兵士達は思った。凄い追い討ちかけるやんと。そして、恐る恐るホムラをチラッと見た。そして後悔した。
めっちゃキレとるやん。こっわ。おうち帰りたいと。
「賊が好き勝手言いやがって!炎よ!」
ホムラは叫びながら火球を放つ。
青年は、青色の盾で受けながら語りかける。
「さっきから賊、賊とおっしゃってますけど、賊はあなたですからね?ここの森は、どこの国にも所属していないのは確認済です。」
青年は淡々と話続ける。
「確かに王国も他国も自国の領土だと主張しているみたいですけど、どこも実効支配していませんでしたよね?というか、出来なかったですよね?」
実際、エンジョウ家は何度か辺境の森を支配しようとしたが出来なかった。何故なら、森の生物が強すぎたからだ。
確かにホムラは強いが、1人だけ強くても土地は支配できない。森を支配するには、ホムラが24時間生物に対応するか、森を全て焼き切るしか無かった。
しかし、森を焼き切れば他国と直接接してしまう為、憚られ、24時間森にいる事も他の家に攻め込まれる可能性がある中では難しかった。つまり、断念したのだ。
「つまり、どこの国の土地でも無い土地を実効支配しているだけです。そして、国か否かですが。」
「国の条件は3つ。領 域、国民、そして主権です。領域は、実効支配しているこの森ですね。民も既に10000人以上居ます。」
青年は話続ける。
「最後の主権ですが、自分たちの国の政治を、自分たちで決める権利ですね。既にこれも満たしています。」
「結論は、既にシールド教団の国、シールド教団国という国では無いかと思うのですが、いかがでしょうか?そこにエンジョウ家が勝手に攻めてきた。つまり、賊はあなた方ではないでしょうか?」
兵士達は思った。知らない話を、難しい話をしてるけど、なんか、それっぽいと。よくわかんないけど、俺たちが悪者じゃね?と。
人民の守護者〜力を得たので人々の為に使おうと思う〜 左脳 @sano19
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