9:被害者4

 意味がわからない。訳がわからない。冷静に考えようとしても考えられない。この二日間で全てが...。

 まず、今日、大石先生は志茂郷を殺害した罪で警察に捕まった。大石先生は容疑を認めているそうだ。でも、なぜ。なぜ先生が志茂を? そもそも先生には志茂を恨む理由がないし。

 そして、昨日。突然『サンシャイン同盟』がなくなっていた。学校から帰ってPCを開き、『サンシャイン同盟』にアクセスしたが見つからなかった。画面には「そのwebサイトは見つかりませんでした」というメッセージが表示されるばかりだ。僕は最初何か僕がミスをしているのだと思った。PCのバージョンが古いとか、そういったミスだ。しかし、そういうわけではなさそうでスマートフォンやタブレットといった別機種で開いても開けない。つまり、サーバー自体が消えた。この可能性しか考えられないのだ。

 しかし、予告なく消えてしまうなんて。なぜ。全くわからない。前日の通話では坂田にアリバイがあったことがわかり、西藤が謝り、そして。いや、別にこれで終わる様子はなかったのに。どうしてだ。

 僕は小学生の頃に読んだ『シャーロックホームズの冒険』の『赤毛連合事件』を思い出した。あの話もたしか赤毛の男がある日職場に行ったら、『赤毛連合』は解散という知らせが貼ってあった。とてもこれはそれに似ている。

 

 そして、一週間経って僕はさらに驚く。大滝がいじめてこなくなったのだ。当然、井伊や本田も。いじめてこないどころか、まるで僕を避けるような動きをする。階段ですれ違っても、以前なら肩パンか腹パンだったのに、最近は無言で僕から一番遠い場所を通っていく。

 

 結局、僕のいじめは止まった。ただ、僕は誰からも絡まれず本当の独りぼっちになった。そして、『サンシャイン同盟』が無くなったため僕は家でも暇するようになった。

 しかし、家族とは弟を含めてずっと口を聞いていないので気まずくて喋れない。

 いじめは止まった。僕が二年間ずっと願ってきたことはよくわからないまま現実となった。けど、何でだろう、何もかもが物足りない。

 最後は僕史上最高の親友、志茂の元で終えよう。

 体育倉庫にて、僕は絞首台に立つ。死ぬ準備はできている。

 ここにきて様々な違和感が脳裏に呼び起こされる。そういえば志茂はたまに僕と二人きりになった時に、何かを打ち明けようとしていなかったか。あれは、この事件の真相に何か関わっているのか?

 坂田が犯人としか考えられない状況。でも坂田は犯人ではない。大石先生が捕まった。これも何か...気になる。気になる気になる気になる気になる。でも、わからない。

 ああ、結局全部中途半端だ。

 クソゲーだ、何もかも、何もかも。

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救済者は誰? みにぱぷる @mistery-ramune

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