肌の色

第1話

「昨日、妻が出産したんだ」

「へー、そうなんですか」

「ほら？　可愛いだろ？」

「……え！　先輩の奥さんって黒人じゃないですよね？」

「ああ、そうだよ」

「この子どう見ても黒人じゃないですか！」

「ありがとう、加藤。俺はそのツッコミを待っていたんだ。みんなこの写真を見せても可愛いと言うだけで肌の色には言及してくれなかった」

「そりゃツッコミづらいでしょうよ」

「で、どう思う？」

「奥さんの浮気確定ですよ。別れたらどうです？」

「先祖返りって可能性は？」

「それならDNA検査をすればいいじゃないですか。先祖返りか浮気か1発でわかりますよ」

「……そうだよな。妻には嫌われるかもしれないけど仕方ないよな」

「先輩どうでしたか？　奥さんにDNA検査のこと言い出せましたか？」

「言い出せなかったよ。でも先祖返りじゃないことだけはわかった」

「どうやってわかったんです？」

「妻の部屋を漁ってたら……」

「漁ってたら？」

「あいつが黒人とやってるAVが出てきた」

「じゃあ、奥さんAV女優だったんですか！？」

「ああ。しかも自分が出てるDVD全部部屋に隠してたし、やってる相手は全部黒人だった」

「それでよく先輩と結婚しましたね」

「白人だから、黒人と肌の焼けたアジア人の違いが付かないのかもしれないな」