第13話 【ニッコリ】


 学校から家に帰ると、マキオはお母さんから、初めてデラーラが死んだことを聞かされました。


 朝、マキオが学校へいったあとに、ひもをかみちぎって、マキオをおいかけていったということでした。そのとちゅうで、車にひかれてしまったのだそうです。


 マキオは泣きませんでした。

 泣くとデラーラにわるいと思ったからです。



 マキオは洗面台のまえにたって、自分の顔をじっとみました。

 口をギュッとむすんで、いまにも泣きそうな顔がカガミにうつっています。


 いそいでマキオは、顔を洗いました。

 なんども洗っているうちに、そでも、びしょびしょにぬれました。


 おどろいて、お母さんがじゃぐちの水をとめにくるまで、マキオは、なんども顔を洗いつづけました。……



***



 デラーラが死んだあの日いらい、マキオは学校をちこくしなくなりました。


 「ゆきじかん」はデラーラがいっしょに、遠い空の向こうまで、風とともに、運んでいってくれたのでしょうか?



***



 晴れ上がった、気持ちのいい朝でした。

 マキオは、洗面台に向かい、歯をみがいています。


シュッ。シュッ。



 みがきおわると、カガミにうつる自分の顔を、ながめながら、マキオはニッコリと笑いました。

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ゆきじかん 夢ノ命 @yumenoto

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