ブラジル日系二世がどのような経験をしたのか

タイトルから明るい話を期待していたが前半は女子寮のところ(ここは明るい描写)以外はまだ彼女の明るい面は見られない。随所に女性らしい観察が見られ。読みやすい文体だ。
女主人公は50代の女性。職場のゴルフ場で彼女は息子の突然の事故死を知らされるところから本編は始まる。息子はホッパーの中で生き埋めになった。本当に事故なのか、それとも誰かの仕業か。息子の葬儀や、それに至るいじめ、同僚とのかかわり、産業排水の問題など盛りだくさんの内容で読ませる。筆者のフロントガラスがダンプカーに跳ね飛ばされた小石で徐々にひび割れが拡がるところや、息子の最期の夜同僚と楽しくギターを弾いた場面の(これは泣けました)などはよかった。今後の話の展開が気になる。30年くらい前の実話をもとにかかれたノンフィクションということである。女主人公がどのように運命に立ち向かうか、読者は目次をながら想像するしかない。