ブラジル日系二世が経験をした事件とは?(第二部を読んで)を追加しました
- ★★★ Excellent!!!
タイトルから明るい話を期待していたが前半はプロローグの女子寮のところ(ここは明るい描写)以外はまだ彼女の明るい面は見られない。随所に女性らしい観察が見られ。読みやすい文体だ。
女主人公は49歳の女性。2年後に彼女が職場のゴルフ場で仕事中に息子の突然の事故死を知らされるところから第1章は始まる。息子はホッパーの中で生き埋めになった。本当に事故なのか、それとも誰かの仕業か。息子の葬儀や、それに至るいじめ、同僚とのかかわり、産業排水の問題など盛りだくさんの内容で読ませる。筆者のフロントガラスがダンプカーに跳ね飛ばされた小石で徐々にひび割れが拡がるところや、息子の最期の夜同僚と楽しくギターを弾いた場面の(これは泣けました)などはよかった。今後の話の展開が気になる。30年くらい前の実話をもとにかかれたノンフィクションということである。女主人公がどのように運命に立ち向かうか、読者は目次を眺めながら想像するしかない。どんな展開になるのか気になる。
プロローグのレビュー
女子寮についたブラジル人たちの(ポルトガル語でかわす)興奮の様子がよく分かる描写だ。女主人公は寮の設備の良さに驚き、ついにあこがれの両親の母国にやって来たと実感する。寮のセキュリティーの良さや設備が整っているのにも驚く。著者(久子と同じ年)は語り部として物語に参加する。働く仲間のことや、庭の桐の並木に沿って張られたロープ伝いに走るマスコットの柴犬のクロなどさりげない描写も良い。今後の物語の進捗を見守りたい。
第 一部を読んで レビュー
日本で息子が事故死した。原因にいろいろ不審な点がある。何故だ。
同僚の語る、死の状況(緊迫感あり)と久子の嘆きの様子。胸が痛む。
第3章の職場の上司からの常軌を逸したイジメの数々!これはひどい。日本人として恥かしい。
一夫が事故の前夜友人とギターを楽しむ場面は泣けた。著者の気持ちが出ている場面だろう。
第二部を読んで レビュー
ブラジルでの生活、移民の暮らしの回想、不安定な経済、久子来日の原因となった自宅への強盗襲撃などが語られる。
強盗の一見は衝撃的だ。一切合切を持って行く。頼りにならぬ警察。詳細は本文で。
久子の望んだ親類探しは上手く行き大勢の人と知り合って喜んだのは束の間、一夫が不審な事故で死ぬ。
最後は、この事故がブラジル大使の知るところとなった。「ブラジルの若い労働者の死を黙って見てられない」という大使の言葉に久子は勇気づけられるが......。
前途は多難だ。
久子を支える人々が大勢書かれていて、日本人も捨てたものではないと感じた。