第6話 なんくるないさー!
「えーっ!! 今日帰っちゃうんですか!?」(驚く声)
「日程を間違えてたっ?!」(驚く声)
「どういうことですか?! 私が勝手に七日間だと思っていたってことですか!? 君も勘違いしてたー?!」
「それも、朝早い便の飛行機ーーっ!?」
「驚きしかないですよ! そうだとしたら、早く準備しないとですよ! 早く早く!」
SE:ドタバタと準備する音。
「チェックアウトとか細かいのは、私が後でやっときますから。君の飛行機の方が大事だよ!」
「準備できたら、出発しちゃいましょ。もうー、いいですよ。洗濯ものとかは、そのままで!」
「あとで私がやっておきますから。戻ってきて来て、君の匂いを堪能しながら、大切にしまっておきますから。忘れ物とか、いっぱいしちゃっててください!」
SE:ドタバタと部屋を出る音。
SE:車を出す音。
「うん、レンタカーも私が返しておくので、大丈夫です」
「申し訳なさそうにしなくて良いですよ。諸々の細かいことを押し付けられるのは、別に構わないんです」
「ただ、今日やろうとしていた予定ができないのが、悲しいんです。一生懸命計画を練ってたんですよ? 色々考えて、準備してたんですから。お土産を買いに国際通りに行ったり……」(寂しそうに)
「ほらほら、ここがちょうど国際通りですよ。せっかくだから、車内からだけでも見てください。お店が閉まってる国際通り……」(寂しそうに)
「本当はね、日中はショッピングをして。夕方からは、またプールに行こうと思ってたんです……。今日は、昨日とは別の水着だったんですから。昨日よりもセクシーな奴……」
「それでそれで、最後の夜だから、夜通しイチャイチャしたり……」(寂しそうに)
「またしばらく会えなくなっちゃうから、寂しくならないように激しい思い出を身体に刻もうと……」(寂しそうに)
(少し間をあけて)
「やっぱり帰っちゃうなんて、嫌ですー! ヤダヤダヤダヤダーー! まだイチャイチャ足りてないですー!」(駄々をこねるように)
「丸一日イチャイチャできると思ったのにー!」(駄々をこねるように)
(少し間をあけて)
SE:車が止まる音。
「もう、空港に到着ですね。沖縄ってそんなに広く無いんです。せめて、もっとドライブでも出来たらな……」
「とりあえず、私も途中まで見送りに行きます」
SE:車から降りる音。
SE:空港で、人混みがざわざわする音。
「急いで出てきたら、若干時間に余裕がありますね。最後に那覇空港でも見て回りましょうか?」
「ふふ、せっかくなら最後のデートです! 楽しみましょ!」(少し元気に)
SE:歩く音。
「ではでは、いつも通り案内しますね。那覇空港にはですね、いろんなお土産屋さんが入っているんですよー」
「ふふ、見たことあるお土産が並んでいるでしょ? おきなわワールド限定って思ってたものがあったり。観光地で買えなかったものは、大体ここで揃うんです。良いサービスでよね」
「見て回るだけでも、沖縄らしさを堪能できますよー」
「ほら、これこれ。ご当地のキャラクターですよ。ふふふ」
「さすがに沖縄以外では売ってないので、どんどん買っちゃったら良いですよ。思い出が『物』として残るっていいですよねー」
「ほらほら、いっぱい買って、私との思い出を忘れないでくださいね?」
SE:歩く音。
「あー、これっ! 美ら海水族館にいたマンタちゃんのキーホルダーですよ、可愛い!」
「このマンタちゃんを見て、この旅で初めてキスしたことを思い出してください? ふふ」(嬉しそうに)
「これなんかも良いじゃないですか。三日目に行った『うるま市』を思い出せるようなサンゴです」
「えっ? 『うるま』っていうのは、『サンゴの島』だって、教えたじゃないですかー?」
「おへそです、へそ! 沖縄のおへその位置にあるところです」
「もう、おへそだと覚えてるんですね。君が大好きな女の子の部位ですよね。ふふ」
「忘れないように、もう一回くらい触っておいてください」(少し恥ずかしそうに)
SE:歩く音。
「四日目のおきなわワールドでみた、鍾乳洞も綺麗でしたよねー」
「キスした音が耳に残っているって? ふふ。君から求めて来たんだからね?」
「そんな思い出を形にしたような綺麗な硝子細工もあります」
「琉球ガラスを使った風鈴なんて良いと思いますよ? 上から吊り下げれば、鍾乳石みたいですよ?」
「これが鳴るたびに、私とのキスでも思い出してください」(恥ずかしそうで、寂しい様子)
SE:歩く音。
「これで、あらかた思い出が揃いましたか?」
「あぁ、最後の五日目にナイトプールで遊んだことは、私の水着写真でも額縁に入れて、飾ってください。ふふ」
「実は、それが一番思い出になってたりしてね?」(イタズラっぽく言う)
SE:歩く音。
「……一週間しか一緒に入れないなんて、全然足りなかったです」
「……また来て欲しいです」(消え入りそうな声で、寂しそうに)
「夏じゃなくても、秋でも冬でも。いつでも来てくれたら歓迎します」
「それまで、私のことちゃんと覚えててくれますか?」
「また、都会の忙しさに忙殺されて、私のことなんて忘れちゃうんじゃないですか?」
(少し間をあける)
「……けど、それだっていいです。また新鮮な気持ちで、会えますから」
「忘れちゃってたら、また一から恋人の関係を築いていけるんですからね!」
「それも、また楽しいでしょ?」
「次来た時も、ファーストキスを奪えるの楽しみだな。ふふ」
(少し間をあける)
「また、沖縄を案内してあげますから」
「沖縄にくれば、いつでも私に会えますからね」
SE:飛行機が来るアナウンス。
「もう、搭乗する時間ですか」
「寂しくないって言ったらウソになります……」(寂しそうに。少し泣きそうな声で)
「それでも、終わりがあるから、楽しめるんですもんね!」(泣きそうな声で、少し気丈に振る舞う)
「セミだって、何年も我慢しても。恋愛を楽しめるのは一週間」
「私は、後悔無く、この夏を楽しめました!」
「最後は、笑って見送りたいですもんね!」
SE:ごそごそと、お土産袋を漁る音。
「えぇ、なんですかこれ? お土産の袋から何か取り出して?」
「私にくれるんですか? シーサー……?」
「一つは私で、一つは君が持つの?」
「ふふ、このシーサー君に似てますね。大事に持っておきます」
「……けど、このシーサーを飾れるような家庭が欲しいなー」(一人でつぶやくように)
「なんてね!」(イタズラっぽく)
「君には、君の人生! 私には私の人生がありますからね。また気が向いたら、来てください!」
「なんくるないさー!」(明るい声で)
「ふふ、落ち込んだ時の魔法の言葉です。いくら失敗しても、きっと大丈夫です! 悩みを吹き飛ばす言葉です」
「私が沖縄から応援しているからね! 落ち込んだら、思い出してね!」
「私のことは忘れても、それだけでも覚えてれば大丈夫!」
SE:飛行機が来るアナウンス。
「それじゃあ、本当のお別れだね!」
SE:近づいて、キスする音。
「ラストキッスも私からでした! ふふ……」(イタズラっぽく)
「それでは、またやーさい!」(元気に)
「『また会いましょうねー』っていう沖縄の言葉です」
「また、明日からも頑張ってね!」
「いつだって、私がついてるからね! 辛くなったら、またおいでー!」
「うん、なにか言い残したことはないかって?」
「それじゃあ、最後に君の口からも聞きたいな?」
「明日から、君が頑張れるように。魔法の言葉を一緒に言おう?」
「恥ずかしくないよ? 私も一緒に言うからさ。せーの……」
「なんくるないさーー!」(爽やかに)
✧••┈┈┈┈┈┈••✧
【あとがき】
この度は、最後まで読んで頂きありがとうございました。
こちらは、第3回「G’sこえけん」音声化短編コンテスト応募作になっております。
この物語が『面白かった』と思って頂けましたら、☆での評価をお願いいたしたます。
第3回「G’sこえけん」の募集テーマは「きみとの”〇〇な”癒しのひととき」でした。
癒しになっていたのか、不安なところもありますが……。
☆はなくとも、「なんくるないさー」という言葉だけでも心に刻んで頂ければ幸いです。
「きっと何とかなるよ」という意味になります。
日々の学校やら会社やら、家庭仕事やら。
そんなことに疲れてしまっていた時には、つぶやいてみてください。
心が軽くなると思います。
「心配しなくて大丈夫、なんくるないさー!」ヾ(*´˘`*)
✧••┈┈┈┈┈┈••✧
沖縄娘と一週間宿泊生活!〜沖縄を満喫しながら、イチャイチャしちゃう話〜 米太郎 @tahoshi
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