君を好きになった理由は特にない

てんてん

君を好きになった理由は特にない


・満員電車の中吊り輪に掴まり音楽を聴きながら揺られている

今は登校中で最寄り駅までずっとこんな感じである

電車通学してる人なら分かると思うが、毎日同じ時間の同じ車両に乗る

そのため目の前にいる変なおっさんも同じなようで

毎日会うためマイメンみたいな感情が出てしまう

いうならば同じクラスの友達と等しいような感じ

途中から乗ってくるあの娘なんかは特に情が湧く

隣の席に座ってる子が可愛い子なら授業中緊張するし、クラスのマドンナの事はみんな大好きである

その子が視界に入ればつい目で追ってしまうのは必然

皆が好きになるならないは別としてだが、僕はあの子に若干恋心を抱いている。


毎朝同じ車両の子に恋なんてありきたりな展開だろうが、同じ教室の子を好きになるのは日常茶飯事なのだから、これも仕方のない事


教室に好きな子がいるなら今日こそは話したい!とか、今日も喋ろうとか、今日はこの話をしようとか考える


僕もそれと同じで今あの子に初めて話しかけてみようとか考えている


もちろんそう思って何ヶ月も経っているのが難点である

だが満員電車なのでそんなことはできない、できないというのも、人目があるから恥ずかしいという感じである

ちなみにこの子は同じ駅で降りという奇跡がある

僕の高校の向かいにある女子校のお嬢様で、女子校だからお嬢様と思っている偏見は置いておいて、名前がわからないのでそんな雰囲気が滲み出ているということもあり勝手に姫と名付けている。


電車で話せないなら降りた後にすればと思ったが、これはもっとありえない、朝降りると同じ学校の生徒がいるのでもっと恥ずかしいから、


ちなみに帰りは特に時間の決まりもなく車両に乗り込むし、そもそも時間が合う事がないので出会う事はないであろう


これは歯痒い恋だ。


さて、どうしようか何かしら策はないかな

恋は叶えてナンボであるから



姫が痴漢にあって僕が助ける。


『おい。その手離せよおっさん。その子嫌がってんだろ?』


『ちっ、クソガキが』


『おい、逃げんなおっさん』


『ありがとう、お兄さん。お名前は?』


なんて事起こる訳もないので

想像するだけ無駄である



そんな事を考えていると次の駅に止まり姫が乗車する。

僕は結構車両の奥の方まで押されていて、ちょうど長椅子の真ん中あたりにいる。

姫は朝のむさ苦しい電車の中へかなり押されながら入り込む僕の隣の隣の辺りにいる。


とりあえず視線を姫の方に首を曲げる

美女は見るだけで癒されるな


声でも掛けに行ける訳もなく、そもそも歩くのは場違いであるくらいの満員

物理的な話だが、近くて遠いとはこの事だろうな


姫は携帯をずっと見ていいたが

急ににふっと視線を上げる、僕と目があった

こういうのはたまにある出来事なのでびっくりはしない

僕がずっと見てると思われるキモイやつにならないためにすぐに目を逸らす

ずっと見ているのだからそりゃ目も会う


姫は僕のことなんか見てないよ、というような雰囲気でまた携帯に視線を落とす。

いや、そもそも僕の方すら見ていない可能性ですらある。いやそうであろう。


だが僕の方を見るために視線を上げたのかと僕を見て目が合ったのかと思うと、この胸の高鳴りは空を飛ぶより高くなる

そう思ったら余計に好きになる

なんだからこれは

好きな子とLINEをしているときに既読無視をされると、え、嫌いなの?え?と思って余計に考えてしまう、あの現象と似ている

見るだけ見て答えを出してくれいない、、



さて、今日もくすぐられてるところで

学校の最寄駅に着いたので降りる事にする


まったく。降りるのも一苦労だ、こんな人がいちゃ降りれないし、

降りない人はその場から動く気もない。

ちょっとは気使えよと思ったが、言うことはできないので

少し強引に突破する


降りれなかった。


くそが。


このスーツ着た物体達のせいだ。


次出る時は肘打ち喰らわしてやろうと考えている。溝のあたり


だが大した問題ではない、なぜなら次の駅で降りても遅刻はしない、最寄駅からは徒歩で15分くらいだが、次の駅で降りたら5分歩く時間が増えるだけだからだ。

少し余裕を待って家を出ておいてよかった

・・・

最悪だ臭いおっさんの前に立ってしまった。

これは何かの罰ゲームじゃないか???


そんな事を約3分間我慢していたらやっと解放した。

この駅で降りてる学生はいないようだ、いつもの駅なら意味わからないくらいいるのだけど、


いや、まて

居た

1人いた

姫がいた


こんな事あり得ないだろうというようなラブコメ展開になってしまっているが、


いやこんな展開になったから逆に漫画になったりアニメになったりするんだろうな


よし、話しかけよう


改札を出て一歩先を行く姫の後をつける。

歩道に出てからは人だかりが少なくなって周りには人がチラホラいる程度で、この道をまっすぐ行ったら学校につく


さてこんな奇跡を逃さないように勇気を出そう。

ここで話掛けなかったら、この小説の意味もなくなるし、恐らく話掛けて無視される事もないだろう。

なぜなら振らてしまったらここまでの話の意味がなくなるからだ。

皆にはこの後の展開の予想と

自分に置き換えての妄想をしてくれればそれでいい。


余計な話はここまでにして。ストーリーに戻ろう。






・『ね、ね、』


後ろから一般的なナンパのように話掛ける

ここからはただのナンパと同じである

姫は付けていたイヤホンを外してこちらを振り向く


『はい。』


首を傾げて少し困った顔をしている。


この後何を言っていいか分からなくて少し戸惑う

が乗り切るしかない


『桃池高校の子だよね?』


桃池高校とはこの子が通っている高校の名前である。


『はい。』


姫は割と笑顔で返事をしてくれた


『もしかして電車乗り過ごしちゃった??』


ナンパっぽくない感じに話を持っていけて一安心


『あっ、はい笑

人ゴミに塞がれて出れなくて』


『僕も同じで乗り過ごしちゃいました』


『同じですね、時間に余裕が合ってよかったですよ』


なんだか驚いたようにクスッと笑いながら話してくれた


『本当ですよね、僕もです笑

あっ名前なんて言うんですか??』


『私は望美って言います!お兄さんは隣の高校の人ですよ??お名前は??』


『そうそう!よく分かったね。ってそりゃ制服でわかるか。優っていうんだ!よろしくね』


『はい!仲良くしましょう』


好きな人にそんな事言われて、嬉しさがこみ上げてくる


『しましょしましょ!!学校の近くまで一緒に行きまさんか??』


興奮した噛んでしまったが


『いいですよ』


姫はニヤつきながらそう言ってくれた


『よく同じ車両に乗ってますよね!よく可愛いなって見てるんですよ。』


ここで思いきった事を言ってしまった。なんだかチャラ男のような発言と同時にキモオタのようだが、それは僕の性格上言ってしまいたくなる事なんで言ってしまった。


『あっ、たまーに目合いますよね笑』


笑いながらそう言ってくれた

2人の関係的に望美の方が立場が上になってしまった気がする、


『あれ気づいてました??結構僕見ちゃってます』


『そうだったんですね。私目合った時に、あれ目合っちゃった。と思ってすぐ目逸らしてました』


『そこはガン見してくださいよ!僕はずっと見てるんですから』


『何言ってるんですかw』



キモい!みたいな風には思われていないようで、むしろ好感を持たれている

人によっては本当にキモくなるが

ここは僕が姫にとって好感をモテてるという事だろう

それになんだか運命的な感じが出ていて関係は良好。

女の子はこぉいった出会いが大好きだし上手くいく気もする


『いやいや、かわいいからさ。彼氏とかいないの?


『そんな事ないですし、いませんよ(T . T)』


『え、意外。いないのか』


『この前フラれたばっかりで、もう割り切れてますけどね!優くんは彼女いるんですか??』


『そうなんだ、僕もいないよ!あ、というか何年生なの??』


『2年ですよ!』


『なら同じだね!あのさ。』


『はい』


ここでいきなり話を切り込んでみる。


『明日も一駅乗り過ごして一緒に学校行かない??』


『え、いいですよ?』


一瞬戸惑いも見えたが、最後はニコッとしてくれた。

これは脈ありなのか??

僕は望美と初めて喋っているが、好きだし付き合いたいと思っている。

少しこの気持ちに至るのは早いが

高校生の恋のスピードはこんなもんだ

情け無いが恋多き少年なのだ

それにこの上なく順調であると思う


『やった!!』


『楽しみですね!』


そう向こうから言ってくれたのはとても嬉しくて好きという思いが一層増した


心の中でニヤニヤしていると、学校が近くになったので明日の約束を片手に登校した。


特にLINEを交換した訳でもないので明日どうなるか確実性はない

それがなんだか逆に好奇してしまってドキドキする

それは望美も同じなのかもしれない

そう願わずにはいられない




・次の日の朝、こんなに目覚めのよくない朝はない

寝れるわけがなかった

それでも気分はかなり上がりながらベットを後にする

そしていつもと同じ時間の同じ車両に乗り込む

相変わらずの満員電車で無理やり入り込むが、いつも通りの日常である


さて望美は同じ電車の同じ車両に乗ってくるのかが問題である。

今までも時々同じ車両に見当たらない事があった


そんなドキドキがとてもお腹を痛くする。

望美が乗車する駅に近づく、人が多すぎて扉のほうが少し見づらいし見当たらない


《目が合ってニヤリした》


周りを見渡していると望美の姿があった

向こうも僕の方を探していたらしく、電車が発進してすぐ目があった。

ニヤリしたというと、誤解の生む表現だがとても照れ合っているように思う。


純情な恋だなと思いつつ

学校の最寄り駅を2人とも乗り過ごし1つ先の駅で2人してニヤニヤしながら降りて、そのまま改札を出る


少し前を望美が歩いていたので少し小走りであとを追う


『おはよー』


『優君おはよ』


朝から気持ちのいい笑顔を見せられドキドキが止まらなく、好きが増した。


『学校遠くちゃったね』


そぉいうと望美はそれもとても笑顔で答える


『ですね、楽しいので全然おっけーです』


望美も少し自分に気があるのかと確信に変わりつつある


『今日も一緒に行けるの嬉しい』


『私もです』


これは恋なのか?望美は恋心を僕に持ってるのか??好きなのか??

好き同士なのか??

付き合えるのか??


昨日宿題をやらずにいた事なんか無かったかのように姫に夢中だ


『そーいえばLINE交換してなかったよね。交換しない?』


『はい!しましょう』


そう言ってLINEを交換しあった


『やったね^_^LINEまた送っておくね』


『待ってますね』


『あのさ、次の休みの日遊びに行かない??』


『え、行きたいです!どこ行きます??』


『カフェでお茶でもしようよ』


話がうまく行きすぎてこわい

幸せすぎる

僕がイケメンだからなのか???


初デートということもあり、手短なとこを提案した

ここでいきなり遊園地とか動物園とか僕の好きなところの案を出したりすると、断りづらかったりするのであまり良くない気がした


『なんかオシャレでいいですね』


『じゃぁ時間とか場所はLINEするよ!』


そんな会話していると学校に到着したので手を振ってお別れをする。


その日の夕方頃望美にLINEを送ってみる

学校は授業中以外携帯の使用は許可されてるがその時間には送らなかった

そんなの簡単だと駆け引きに決まっている

というのは嘘で

普通に1限目の宿題忘れた罰で携帯を没収されてたからだ


『こんばんは!優です』


『優君だ!!』


『今日話してた今度の休みな日の話なんだけど、電話で話さない??』


『いいですよ!電話かけてきてください^_^』


そう言われたので電話を掛けてみる

手が少し震えながら


『もしもーし』


『もしもしー』


『今何してるのー?』


『ちょうど暇してました』


『そうかそうか、時間と待ち合わせ場所どうする??』


『優君決めていいですよ!私予定とかないので』


そう言われたので日時と場所を決めた

デートの約束の為に電話をしたがお互い暇までだったということもあり

気がつくと1時間も長電話してしまっている


なんだか勢い余ってしまい、切り出す


『あのさぁ〜』


『なにー?』


『僕望美の事好きだから付き合わない??』


本当は次のデートの後に告白をしようと思っていたがなんだか気持ちが抑えられなかった。胸が苦しくて言ってしまった。

初デートの後でも告白は早いが

もっと早くなった

高校生だからという理由以外見当たらない


『いきなりですね。』


『うん。』


『でも、少し疑問があるの

なんで私なの?

優くんカッコいいから私じゃなくてもいい気がする』











ここで終わりにします


ヒロインの『なんで私?』と言った意味にはどんな意味が含まれているのか、皆さんどう思いますか?


ルックスのいい優君がわざわざ隣の高校の

冴えない私を選んだ理由

自信がなくなったのか

ただの流れで聞いただけなのか

そのどちらでもないのか






今回伝えたいのが




愛とか好きな人って


誰でもよくて


数えきれないほどいる人の中から


同じ教室の君を選んだり、


自分に興味のある人の事を好きになったり、


隣に座ってるってだけで人を好きにする。


でも、


その誰でもいいが


きっと君がいいに変わって


その誰かを愛せる事の方が大事になると思う。






だから《私なんて》と思ってる人も


きっと相手からしたら君じゃなきゃいけない

そんな恋をしていらかもしれないよ




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