第4話 俊英会③
「ところで、まあ、興味本位なんだが、リベラル政党にするなら、どうするつもりだったんだ?」
「どうするって、現状維持だろ?」
「だが、老人の数が増えて、介護事業がとか、言ってんだろ?」
「まあな。介護事業に関しても、もう少しルール作りや、その状態を精査したくはあるが、さらにお金かかるからな。そして、超高齢化社会。税金を払う層が減り、使う世代が増えている」
「だよな」
「これに対する方策としては、労働人口を増やすと、将来的な方策として安心して子育て出来る、子供の暮らしやすい社会の創造。まあ、子育て世代を手厚く手助けするのが政府の重要な役割って感じだな」
「ふ〜ん。要するに、日本は魅力的な国だから、子供産みやすいよ育てやすいよという感じだな」
「かなり長期戦になるがな」
「良いですね〜。さすがですね」
「まあ、何度も言うが、お金がかかるんだよ。そうなると、消費税アップ。まあ、スウェーデンみたいに、食料品の消費税は上げずに、一般消費税上げて、文化事業、医療、福祉の消費税は下げるという感じだな。まあ、これでどの程度まかなえるか分からないが、国民の評判は悪くなるだろうな〜」
「だろうな。まあ、政治家でちゃんと説明しているところ見ないしな」
「そう、それもだよ。国民に対する責務。説明責任を果たしてないんだよね。テレビに出てガンガン説明すればもっと、信頼されるのにね」
「ああ、俺も、そう思う」
高福祉高負担の福祉国家として知られている。スウェーデンの消費税の特徴は軽減税率が広く認められていることである。一般消費税は25%であるが、食料品は12%、文化事業は6%、医療サービスや福祉サービスは0%となっている。相続税を廃止する際には、国民がセーフティネットを信頼していることもあり、議論はほとんど起きなかった。日本とは違うよね。
「話をもとに戻そう。消費税アップじゃなければ他に手はないのか?」
「まあ、俺の見る限り手はあるんだが。まあ、医者としてはな」
「由人は、医者だったな」
「ああ」
まあ、それは、どうでも良いとして。
「橘記念病院の院長先生ですよね〜。外科のスペシャリスト。手術受けたい人で混み合っているんですよ」
まあ、それは、どうでも良いとして。
「法外な値段とっているのか?」
「おい! 取るわけないだろうが、維新、人聞きの悪い。まあ、それは、どうでも良いとしてだ。病院に来るのは圧倒的に高齢者が多い。まあ、当たり前なんだがな」
「そうですよね~。頑張って働いてきたから、あちこち傷んで御苦労様ですよね~」
「ああ、まあ、それは良いとして。医者は、そんな高齢者にいっぱい薬を出す。だから、政府は薬価を下げた」
「それも政策だよな」
「ああ。俺だったら、高齢者の負担金をさらに上げる。まあ、高齢者には嫌われるだろうけどな。そして、医療費を上げる。これで、薬をいっぱい出して儲けようとする医者も減るはずだ」
「おいおい、毒舌過ぎだろ。そんな医者なんてわずかだろ?」
「さあね。そしてだ、その代わりに、運動療法や、機能療法、食事療法や、健康診断もか。政府がサポートして充実させる。若くても高齢者でも重要だからな」
「北欧と同じく、予防政策ですね」
「ああ、健康で長生き出来るのが一番だからね」
「真の意味での福祉国家か」
「そう。まあ、理想論だけどな」
「だけど、政策的には面白いな」
「そうか? まあ、これだけで補填出来るか分からないがな。後は、生活保護の徹底的な審査と、逆に生活保護からの脱却サポートにお金をかける。後は、公共工事か……。あれも、仕事を生み出すと言う意味では、福祉対策だからな。でだ、同じリベラルとして、憲子はなんかないのか?」
「えっ? 私ですか? そうですね〜。大体、由人先輩が言っちゃいましたし、憲法9条さえ、守れれば良いですかね〜?」
「おっ、出た。左翼大好き憲法9条」
「維新、余計な事言うなよ」
「分かってるよ。俺だって、軍事国家は望んでない。だけどな、戦えない国って言うのは、ちょっとな」
「それは自衛隊法の改正で対処していくしか……」
「結構、弱気だな」
「ん? まあな、じいさまに戦争の話は聞いていたし、歴史好きだからな。日清戦争で1万人以上、日露戦争で8万人以上。そして、日中戦争に第2次世界大戦だろ。やはり人の死は嫌だよ」
「だがな。隣国の中国とか領土を狙っているし、韓国は信用ならんし」
「維新、あまり過激な事は言うなよ。これからはな」
「すまん、将久」
維新は、将久の腹心という感じだった。
「まあ、国民性もあるからな〜。あっちの歴史では教えないらしいが、朝鮮半島は下関条約まで清の属国だったし、中国は中国で、漢民族の支配する王朝は、漢晋明だけだって言うしな。だから、激しい自己主張の国になったんじゃないかな? まあ、個人的見解だが」
日清戦争により日本が清に勝利し、下関条約にて清の冊封体制からの李氏朝鮮の独立を認めさせた。これにより、李氏朝鮮は清の支配から解放され、自主独立国家として歩み出すことになり、清への服属を象徴していた迎恩門を壊した。その後登場する独立協会が、迎恩門の跡地のすぐ隣に独立門を建てた。
一方、中国は、漢の滅亡、そして、三国時代を経て晋の立国滅亡があり、その後は、北方民族などの五胡十六国、隋、唐、五代十国、宋、金、南宋、元。そして、一度漢民族の王国の明が出来て、満州族の清。
晋の滅亡(317年)から、1368年の明の建国そして1644年に明の滅亡までの280年間と1912年の清の滅亡まで。実に1300年以上異民族の支配を受けているのだった。
まあ、今や混血を進め、チベットとかウイグルとかを、支配し全て漢民族と言っているが、元々は、キエフ公国をおおもととするロシアと同じく、その根底には……。やめておこう。
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