第4話 休日
その夜は寝ようと思ってもなかなか寝付けず、布団をかぶって何度も寝返りをうち時には体を起こして壁にもたれかかってみたりと、色々試行錯誤をしてみては頭に残った恐怖でうまく寝れずにいた。普段ならここでスマホを手に取りSNSや動画を見たりして時間をつぶすのだが先ほどの通知から触る気にはなれなかった。
ようやく眠気がやってきたのは明け方で、時間を確認してまだ暗い外を見てはため息をつく。今日はもう休んでしまいたいと外の空気と同じ暗い気持ちになり、ため息を一つつく。
ここで寝てしまうと起きれないと思い、気合で起きていようと一度体を起こし気分転換にキッチンへ行きインスタントのコーヒーを淹れる。いつものように砂糖をティースプーンに一杯とほんの少しの牛乳を加え一口飲む。温かく甘いいつもの味は心を落ち着かせてくれた。
部屋に帰るのもおっくうになり、リビングのソファーでくつろいでいるとお母さんが起きてキッチンへやってくる。
「あら、おはよう。早かったのね。歌恋大丈夫?なんだか顔色が悪いみたいだけど。」
お母さんが心配そうに顔を覗き込み額に手を当てる。熱がないことを確認してほっとして話しかける。
「もし、体調悪いなら今日は学校お休みする?」
「ん-、ちょっと疲れちゃっただけかも。寝たら治ると思うし、今日はお休みしちゃおっかな。」
お母さんの優しい言葉に甘えて、今日は学校を休むことにした。誕生日の次の日なのに休むというのもなんだか心が引けてしまう。
その言葉を聞いたお母さんは自身のスマホを取り出し学校へ欠席連絡を送る。今の時代ネットで欠席連絡ができるのはとても便利になったと前に言っていた気がする。
私は飲み終えたカップをシンクに置き、自室へと戻る。あれから通知は一度も来ていないが確認する気も起きなかった。
温かいものを飲んで気持ちが落ち着いた体はとても重くベッドへ倒れこむように入ると沈むように眠ってしまった。
どれくらい寝ていたのだろう、空腹を感じふと目を覚ますと外はとても明るくきれいな秋晴れの空がカーテンの隙間から覗いていた。いつもの癖でスマホで時間を確認すると午前11時前だった。友達からのメッセージがたくさんたまっていて、心配する声がたくさん届いていた。仕事へ出かけた母からもメッセージが入っており、軽食を作ってあるから元気になったら食べてと書いてあった。
友達に心配かけてごめんねと返信をして、母の作った食事を食べようと再びリビングへ行く。誰もいないリビングは静まり返っていて、なんだかとても寂しく感じた。
ラップをかけておいてあったお皿にはおにぎりやいくつかのおかずがあり、それをありがたくいただくことにする。
改めて昨日のメッセージは何だったのか確認してみようと思い、スマホを手に取る。静かなのは怖いのでテレビをつけて、昼の情報番組を流しながら昨日のメッセージを開いてみる。
『たすけて、ぼくをみつけて』
昨日と変わらないメッセージとピンボケの写真。その写真にどこか見覚えがあった。うーん、と寝不足で回らない頭を回転させて思い出そうとする。けど、私の頭はそんなに都合がいいわけではなくピンっと来る場所は思い出せそうになかった。
スマホの画面を消して机に置く。なんであんなに昨日の夜は怖かったのだろう……今になって見てみるとなんてことないメッセージに恐怖で寝れなくなった自分が不思議で仕方なかった。
おなかも満たされ、心も落ち着いたところでふと思い出した。
あの写真、公園の神社によく似ている、と。
雨傘と椿川(仮題) たいやきさん @taiyaki-san
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