陽光

桜雨るび

第1話

本当に人間って愚かで面白い。

影で僕にあいつは能無しや感情が無いとか幼稚で陳腐な言葉を羅列するくせに、誰が書いたか分からない小説に筆者は感受性豊かでその表現が上手いですねとか、感動しましたとか言うくせに筆者が誰かわかった瞬間やっぱあの小説はつまらない、何か物足りないとか意見を手の平クルクルと替えてくる。たとえどんなに良い賞を取ろうとも。

 そんな人が多い世の中で多少文字が崩れ、文字が涙で滲んだ手紙はまるで、荒廃した場所に差す光のようだった。それはきっと顔も名前も知らない人から来た手紙だから。きっとこの感動は色褪せず、ずっと伴っていく大切なものだと信じてる。


「どんなに良いことがあっても下を向きたいときは時間はある。そこで無理して前を上を向いて歩かなくても、そこで新しい発見や視野を広げることが出来たなら、出来るならそれはあなたにとって必要なこと。きっかけはあなた以外の誰かから与えられる事も、あなた自身で作ることも出来るけど、それに向き合うかはあなたが決めることなのを忘れないための指標になるだろうから。」


 この文章でこれからどうなってくか分からない未来につい期待を寄せていたくなる文章に縋って我武者羅に足掻こうと決めました。藁にも縋る思いだけどやっぱり最大値を出して、頑張ったと言える自分になれるように。足掻いた跡を見せたい。なので、―貴方も足掻いて沢山の宝物を残してください。私が足掻いた跡を送る場所を見失わないように。 


 荒廃した場所に芽生えた小さな芽はいつどんなふうに芽生えるのだろうと、顔も分からない君に想いを馳せる。そして目印となる宝物を綴るために、そっとペンを持ち上げた。

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陽光 桜雨るび @sakuraame23

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