第2話 アメンボー

「へ?」

なんじゃこいつ。変なやつ。

雨で頭おかしくなったんじゃないの?

「あなたもあめんぼになりたくなったのね!」

よくみるとこいつ、3年生の名札じゃん。この学校、なんか馬鹿ばっかりだとおもってたけど、

3年ここにいるとこうなっちゃうのか。

はやいうちにこの学校辞めちゃおうかな。

「いえ、違います。」

「え?じゃあなんで雨の日の校庭にいたの?」

めんどくさいな。テキトーに返事してさっさと帰ろ。

「落とし物しちゃって、探してたんですよ〜。見つかったんで、サヨナラ。」

「ワッツ?」

「はい?」

「あなた今日校庭はじめてきたよね?」

「ギクッ。」

「しかも一部始終みてたけど、そんなテンションじゃなかったよね?」

「うへー。」

「そもそも、何かを拾った動作を見てないんだが?」

「ぐおお…。」

「私があめんぼだからって、馬鹿にしちゃいけねえよ。」

「す…すみません…。」

「あめんぼになる気ねえならとっとと帰んな。半端な気持ちじゃ風邪ひくだけよ。」

「さっきからなんなんですか?あめんぼって?」

「あめんぼしらない?」

「いや、しってますけど、人間じゃないですか。」

「中身はあめんぼだよ。」

「はい?」

「あめんぼはいいよ。誰もが嫌がる雨の中を自由に生きてる。嫌がることを楽しめるって最高じゃん。」

確かに。

「まあこれでも食べてさ、一緒にあめんぼやろうよ。」

そう言って、あめんぼは私にペロペロキャンディーをくれた。

棒の飴。飴の棒。アメンボー?くだらな。帰ろ。

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あめんぼ部 三輪ココロ @miwakokoro

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