キャッチャー

蒼開襟

第1話

夢を捕まえる罠。


色とりどりの蜘蛛の巣の中から気に入ったものを一つ。

美しい装飾で金糸が光に当たっては輝く。


これが良いのだと思ったが、その向こうの藍色が闇に染まる巣が目に止まった。

部屋に飾るならこれだろう。


キャッシャーで購入すると店を出た。

外はまだ明るく空は青に白が少しかかっている。あと数時間もすれば先ほど買った巣の色と同じ色がこの青を染めるだろう。


暗闇がやってくる。美しい夜の暗闇が。

じわじわ橙に染まり青と藍、漆黒を織り交ぜて侵食していく。


明るい場所の光はまるで蝶のようでもある。

漆黒の闇にまみれて隠された蜘蛛の巣が蝶を捕まえて離さない。


そこにいることを決められた光る星はその場で瞬いている。

手の中にある夢を捕まえられる蜘蛛の巣。

ベットサイドに置けば私もまた捕まえられてしまうだろうか。


この蜘蛛の巣に住む怪しい魔物に、それとも私と同じ顔をした恐ろしい生き物に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キャッチャー 蒼開襟 @aoisyatuD

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る