ホメルン日記01

 ここがこんなに賑やかな場所になるとは思わなかった。今も夢なんじゃないかって思う時がある。

 

 ここはずっとアタシの他には誰もいない、灰色の空間だった。


 面白くない。

 つまらない。

 こんなんじゃだめだ。


 そんな情けない叫びと共に棄てられた大量の言葉。動くことのない命なきキャラクター達。そんなものであふれた虚しい灰色の世界。


 誰にも知られることなく、生み出した本人の記憶からもこぼれ落ちてゆく、出来損ないが集まる場所。


 だけどある日、分厚い灰色の雲に隙間ができて、この場所にほんのわずかな光が差し込んだ。

 

 どうせまたいつもの気まぐれだろうと思った。きっとすぐに隙間は閉じて光は消えてしまうのだろうと。


 アタシはあまり期待していなかったけれど、それでもその光の当たる場所に行って、そこに埋まっていた言葉を掘り出し、雲の隙間に向かって掲げてみた。


 すると、光に当たった言葉に色がつき熱を帯びはじめた。隙間からはたまに温かい言葉もふってきて、そうすると今度はマネキンのように動かなかったキャラクター達が、ギギギと音を立てぎこちなく動き出した。


 驚いて呆然としていたアタシは、こちらに向かって呼びかけてくれる声に気付き、慌てて返事をした。


 笑い声が聞こえた。


 それでようやくアタシは理解した。どうしてこんな場所に光を当てようと思ったのかを。


 仲間が出来たんだね。


 よかったね。嬉しかったんだね。ありがとう。おかげでアタシにも仲間が出来たよ。今日はタイフーン明美ちゃんといろいろ見て回ろうかな。


 ここにはまだまだたくさんあるよ。面白くなくて、つまらなくて、全然ダメで、だけど一生懸命紡いだ大切な言葉が。


 今度はどこに光が差し込むのかな。


 

――――――――――――――

【お知らせ】

 カクコン中は特別編としてカクコン参加のみなさんの作品をホメさせて頂こうかなあ……なんて思ってるわけよ。アタシはただほめるだけの妖精だから、なんの力にもなれないかもしれないけれど、少しでも伝えたいじゃんね。本気で書いたその作品が面白くないはずがないって。「アタシがそれを証明してあげる!」ってやつだね(≧∀≦)

 ま、予定は未定だけどね!笑

 じゃ、まったねー!

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ボツ作品をホメルン しぇもんご @shemoshemo1118

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